古典的なガウス波束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 16:57 UTC 版)
古典力学における三次元の波動方程式 ∂ 2 u ( x , t ) ∂ t 2 = c 2 ∇ 2 u ( x , t ) {\displaystyle {\frac {\partial ^{2}u(\mathbf {x} ,t)}{\partial t^{2}}}=c^{2}\nabla ^{2}u(\mathbf {x} ,t)} を考える。ここで c は波の伝播速度である。この波動方程式は、平面波解 u(x, t) = ei(k⋅x − ωkt) を持つが、その分散関係は次のように表される。 ω k 2 = | k | 2 c 2 {\displaystyle \omega _{\mathbf {k} }^{2}=|\mathbf {k} |^{2}c^{2}} | k | 2 = k x 2 + k y 2 + k z 2 {\displaystyle |\mathbf {k} |^{2}=k_{x}^{2}+k_{y}^{2}+k_{z}^{2}} つまりこの場合は分散がない。 簡単のために一次元を考えると、一般解は次のように表される。 u ( x , t ) = A e i ( k x − ω k t ) + B e − i ( k x + ω k t ) {\displaystyle u(x,t)=Ae^{i(kx-\omega _{k}t)}+Be^{-i(kx+\omega _{k}t)}} ω k = c k {\displaystyle \omega _{k}=ck} 右辺の第一項は x − ct についての関数であり、x についての関数を ct だけ正の方向に移動させたものである。よって波が正の x 方向に速さ c で伝播する状態を表すことがわかる。第二項は x + ct の関数であるため、波が負の x 方向に伝播する状態を表す。同様に波束も ω(k) = kc のときは u(x, t) = F(x − ct) であるため右方向へ移動し、ω(k) = −kc のときは u(x, t) = F(x + ct) であるため左方向へ移動する。 例えば時刻 t = 0 でガウス型波束 ψ ( x , 0 ) = e − x 2 + i k 0 x {\displaystyle \psi (x,0)=e^{-x^{2}+ik_{0}x}} であったとする。重ね合わせ係数は逆フーリエ変換により A ( k ) = 1 2 e − ( k − k 0 ) 2 4 {\displaystyle A(k)={\frac {1}{\sqrt {2}}}e^{-{\frac {(k-k_{0})^{2}}{4}}}} と得られるため、このガウス波束の時間変化は分散関係 ω = ck を用いると次のように表される。 ψ ( x , t ) = e − ( x − c t ) 2 + i k 0 ( x − c t ) = e − ( x − c t ) 2 [ cos ( 2 π x − c t λ ) + i sin ( 2 π x − c t λ ) ] {\displaystyle {\begin{aligned}\psi (x,t)&=e^{-(x-ct)^{2}+ik_{0}(x-ct)}\\&=e^{-(x-ct)^{2}}\left[\cos \left(2\pi {\frac {x-ct}{\lambda }}\right)+i\sin \left(2\pi {\frac {x-ct}{\lambda }}\right)\right]\end{aligned}}} この虚部は余弦波に垂直偏光する正弦波を表す。最初に示したアニメーションは、この分散を伴わない伝播をする波束の、実部と虚部を表したものである。
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