及川平治の認識論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 21:12 UTC 版)
「仮説実験的認識論」の記事における「及川平治の認識論」の解説
日本の教育者の及川平治(1875-1939)はデューイの「概念は仮説実験的に成立する」という思想を受け継いだ。及川は1915年の『(分団式)各科動的教育法』(1912年:大正元年)の中でデューイの概念法則の発達過程の例を引用して次のように主張した。 従来犬の概念は種々の犬について、種々の性質に分解し、次に不同の点を捨てて、同一の点を残して。これを統合して作られるものと思うておった。こういう考えは概念の起源を誤っているのではあるまいか。おそらく成人でもかかる方法で概念を形成する者はほとんどいないと思う。 児童は一匹の犬より得たる事実をもって(犬の)概念を作り始めるのである。児童はこの経験を基礎として、次に来る経験に対して一定の期待をもって特殊の行動を営むものである。児童はその後、犬、その他の獣類を見るごとに「予断の態度」を取る。一定の犬の意味を他の犬に応用したときに、犬の意味はますます確定し精錬されるのである。児童は一群の犬より共通の意味を選択するのではなくて、旧経験を新経験に応用して理解を助くるのである。この「仮定および実験の過程」は結果によって承認され、あるいは拒斥せられて、概念は次第に明瞭になるのである。 板倉はこの及川の主張に対して「科学教育史上でも注目すべき言葉である」と評価した。
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