原子力災害時の放射線障害予防薬として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/10 08:15 UTC 版)
「ヨウ化カリウム」の記事における「原子力災害時の放射線障害予防薬として」の解説
詳細は「ヨウ素剤」を参照 非放射性のヨウ素をカリウム塩にしたもの(要するにヨウ化カリウム)を「安定ヨウ素」製剤として用いる。動物の甲状腺は、甲状腺ホルモンを合成する際にヨウ素を必要とするため、原子力災害時等の放射性ヨウ素を吸入した場合は、気管支や肺または、咽頭部を経て消化管から吸収され、その10~30%程度が24時間以内に甲状腺に有機化された形で蓄積される。放射性ヨウ素はβ崩壊により内部被曝を起こしやすく、甲状腺癌、甲状腺機能低下症等の晩発的な障害のリスクが高まる。そのため、非放射性ヨウ素製剤である本剤を予防的に内服して甲状腺内のヨウ素を安定同位体で満たし、以後のヨウ素の取り込みを阻害することで放射線障害の予防が可能である。この効果は本剤の服用から1日程度持続し、後から取り込まれた「過剰な」ヨウ素は速やかに尿中に排出される。また、放射性ヨウ素の吸入後であっても、8時間以内であれば約40%,24時間以内であれば7%程度の取り込み阻害効果が認められるとされる。 本剤に副作用は少ないが、ヨウ素への過敏症や、甲状腺機能異常を副作用として惹起する可能性があるため、一般人の判断での服用は極力避けるべきである。
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