制定の理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/23 06:03 UTC 版)
「1689年王位及び議会承認法」の記事における「制定の理由」の解説
ウィリアム3世 メアリー2世 1688年、イングランド王ジェームズ2世が廃位され(議会では廃位でなく退位したとされている)、ウィリアム3世とメアリー2世が共同統治者として即位した。しかし、この出来事は議会立法で確認される必要があった。2人の即位時点では議会が招集されていなかったため、議会招集を行う必要があったが、イギリスの憲法では議会招集の権限が国王に帰されている。議会招集のできる国王が不在だったため、前回の議会の議員は(国王による招集なしに)集まり、ウィリアム3世に議会招集を求めた。ウィリアム3世は求めに応じて1689年1月22日に議会を招集、議会は1689年2月13日に開会した(1689年仮議会)。仮議会はジェームズ2世の退位、およびメアリー2世とウィリアム3世の即位を宣言し、それを盛り込んだ法を制定した。これが1689年の権利の章典である。スコットランド王国議会(英語版)も1689年権利主張法を制定し、ジェームズ2世が違法行為を行ったことと戴冠宣誓ができなかったことを理由にジェームズ2世の王位剥奪を宣告した。 1689年仮議会が通常の手続き通りに招集したものではなかったため、議会としては無効でありその立法も効力がないという主張ができてしまう。そのため、1689年仮議会が解散された後にウィリアム3世とメアリー2世が改めて議会を招集すると、1689年王位及び議会承認法が制定され、ウィリアム3世とメアリー2世の王位継承と仮議会の立法能力が再確認された。 アイルランド王国ではアイルランド議会が1692年に「陛下のアイルランド王位への疑う余地のない権利を承認する法」(An Act of Recognition, of their Majesties undoubted Right to the Crown of Ireland)を制定、2人の王位継承を確認した。アイルランドが独立した後、この法律はアイルランド共和国の1962年制定法整理(合同以前のアイルランド制定法)法(英語版)で廃止された。一方、連合王国では「1692年王位承認法(アイルランド)」(Crown Recognition Act (Ireland) 1692)として現行法となっている。
※この「制定の理由」の解説は、「1689年王位及び議会承認法」の解説の一部です。
「制定の理由」を含む「1689年王位及び議会承認法」の記事については、「1689年王位及び議会承認法」の概要を参照ください。
- 制定の理由のページへのリンク