利点と批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:20 UTC 版)
著作権の形式的手続は、利用者や著作権者にとって一定のメリットがあった。第一に、著作権の状態の決定がかなり容易になることである。著作権者や著作された日付からなる著作権表示を著作物自体に記載することで、それを見るだけで、どのような著作物でも著作権が設定されていることが容易にわかる。著作権の登録と更新により、著作権者の記録が一元的に管理され、利用できるようになる。また、紛争が発生した場合に備えて、誰が著作権を所有しているかについての法的根拠のある記録を残すこともできた。 しかし、19世紀末には、著作権の形式的手続は創作者、特に作家に不必要な負担を強いるものとみなされるようになっていた。例えば、著作権表示の順番を間違えたり、誤った場所に記載したり、また、著作権の更新を適時に行わなかったりするなど、形式的手続を守らなかった場合には、著作権を失うことになるだろうと考えられていた。そこで、ヴィクトル・ユーゴーやその他の作家たちは、著作権の形式的手続の撤廃を求めて運動を展開した。その結果、1908年のベルヌ条約の改正で、条約加盟国に対し著作権の形式的手続を課すことを禁止し 、著作権の申請(登録)が必要なシステム(方式主義)から自動的に著作権が発生するシステム(無方式主義)へと移行させた。
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