分類と研究史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/28 05:14 UTC 版)
1967年にEchinosporangium transversalisとして記載された。菌糸の特徴(隔壁を欠く)からケカビ目(Mucorales)に属する菌であると判断されたが、科レベルの位置づけについては、真の柱軸を欠くことや胞子嚢の形態などからケカビ科(Mucoraceae)やクサレケカビ科(Mortierellaceae)その他の科への所属が否定され、有性生殖の発見を待って判断されるべきであるとされた。なお、属名Echinosporangium は、すでに紅藻類の一属に対して用いられていたために異名扱いとなり、後にLobosporangiumに置き換えられた。 いっぽう、サクセネア(Saksenaea)属とともにサクセネア科(Sakseneaseae)に本属を含める意見もある。無色で隔壁を持たない菌糸を持つことから接合菌類に属するものであると考えられるとはいえ、胞子嚢の形態が非常に特殊であること・胞子嚢柄の基部に仮根状の構造があること・多数の胞子を含む胞子嚢以外には分化した無性生殖器官を持たないことなどから、既知の科に分類することには無理がある、というのがその根拠である。しかし、これらの形質は、ケカビ目の基本的な特徴として普遍的に見られるものであり、少なくともサクセネア属とLobosporangium との間に強い類縁関係を想定する根拠にはなり得ない。 他方で、これをクサレケカビ科に含める説もある。この見解には反対する意見もあったが、分子系統学的な解析結果もこれを支持していることから、現在ではこの位置づけがほぼ確定している。形質としても無色の菌糸体、気中菌糸から胞子嚢柄を出すこと、それにコロニーがニンニク臭を持つことなどは、この属とクサレケカビ(Mortierella)属に共通する特徴である。 なお、本属で認められる形態の特異性と、本属以外の分類群の形態との関連に関しては、もとはクサレケカビ属の一種として記載されたGamsiella multidivaricata において観察される胞子嚢柄の二叉分枝との関連が論じられている。この両者の間には、分子系統解析によって類縁関係が推定されるとの報告がある。
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