全反応次数とは? わかりやすく解説

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反応速度

(全反応次数 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/31 15:02 UTC 版)

鉄の腐食は反応速度が低く、遅い反応である。
木の燃焼は反応速度が高く、速い反応である。

反応速度(はんのうそくど、英語: reaction rate)とは化学反応反応物あるいは生成物に関する各成分量の時間変化率を表す物理量。通常、反応速度を表現する式は濃度べき関数として表現される。

反応速度の一般式

倍数比例の法則が示すように、化学反応に関与する各成分の変化量は、その間に一定の比が成り立つ従属変数であるので、特定の成分量ではなく次のような反応進行度(はんのうしんこうど)または反応進度(はんのうしんど、: extent of reactionξ を定義し、その時間微分で化学反応全体の進行速度を表す。

次の一般化反応式を考える:

この節の加筆が望まれています。

律速段階

逐次反応において最も遅い素反応(過程)を律速段階(りっそくだんかい、rate-determining step)と呼ぶ。あるいは律速過程とも言う。それは最も遅い素反応(過程)が、複合反応の反応速度に対して強い影響を及ぼし、その反応の振る舞いを決定づけるためである。

測定方法

前述の定義のように、反応速度を決定するには物質変化を定量分析することで測定する。反応速度がかなり遅い場合は反応系をサンプリングして容量分析することも可能であるが、大抵の場合は測定時間が短い分光法分析による定量分析が必要になる。反応速度が早い場合は反応装置や反応系にも工夫が施される。近年では高速のレーザーパルスを利用することでフェムト秒アト秒の物質状態を分光測定することも可能になり極めて高速の反応過程も観測できる。

高速流通法

高速流通法(こうそくりゅうつうほう、rapid-flow method)では反応器とそこから引き出された管路の先に固定された分光定量装置を用意する。反応器にシリンジで反応成分を注入混合されてスタートした反応液は、引き続き管路から流出させる。そのことにより測定器の前を連続的に反応液が通過するので成分の経時変化が測定できる。連続フロー法 (continuous flow method) とも呼ばれる。高速流通法では大量の反応液が必要なため、反応液の通過を止めて測定する場合はストップトフロー法 (stopped flow method) と呼ばれ、種々のプローブを使ういくつかの方法が開発されている。特に円偏光二色性を利用する場合には蛋白質の2次構造の変化を、X線溶液散乱法と結合されたときには蛋白質のコンパクトネスを観測するのに有効である。

緩和法

また、平衡状態にある反応に対して反応系の温度や圧力等を変化させ、新たな条件での平衡点へと化学反応が進行する過程を解析する反応速度の測定方法を緩和法(かんわほう、relaxation method)と呼ぶ。温度変化を利用する場合は温度ジャンプ法(おんど—ほう、temperature jump)、圧力変化を利用する場合は圧力ジャンプ法(あつりょく—ほう、pressure jump method)と呼ばれる。

レーザーを使って温度を上げる装置を用いる場合はレーザー温度ジャンプ法という。これは非常に短時間(およそ10ナノ秒程度)で温度を上げることができるので、速い反応の解析に用いられる。特に最近では蛋白質のフォールディングの初期反応の解析に用いられて大きな成果をあげている。

出典

参考文献

  • Peter Atkins、Julio de Paula、Ronald Friedman『アトキンス基礎物理化学(下)―分子論的アプローチ―』千原 秀昭・稲葉 章 訳、東京化学同人、2011年。ISBN 9784807907519 
  • Raymond Chang『生命科学系のための物理化学』岩澤 康裕・濱口 宏夫・北川 禎三 訳、東京化学同人、2006年。ISBN 9784807906451 

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