光線光学的解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 10:13 UTC 版)
捕捉微粒子の直径が波長よりも十分大きい場合には,トラッピング現象は光線光学で説明できる。図に示すように,レーザーからの個々の光線は,誘電体球に入るときと出るときに屈折する。その結果,光線は入射方向とは異なる方向に出射する。光は運動量を持っているため,進む方向が変わると運動量も変化する。作用・反作用の法則より,絶対値が等しく逆向きの運動量変化が微粒子に生じる。 多くの場合、ガウシアンビーム(TEM00モード)のレーザー光が光源として用いられる。このとき、図の(a)のように微粒子が光軸中心からずれた場所にあれば、全てを足し合わせた力は微粒子を光軸中心に引き寄せる方向に働く。なぜならば、ガウシアンビームの中心にある強い光線(図(a)の光線2)は中心軸から外れる方向に屈折し、微粒子に中心向きの運動量変化を与えるからである。この運動量変化は、ガウシアンビームの周辺部の光線(図(a)の光線1)によって与えられる外向きの運動量変化よりも大きい。図(b)のように微粒子が光軸上にあれば、個々の光線は光軸に対して円対称に屈折するので、光軸に垂直な方向には力が働かない。この場合、屈折による力は光軸方向に働き、散乱力とつりあう。散乱力とのつり合いにより、微粒子の安定な捕捉位置はビームの焦点よりもやや下流になる。
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