債権回収と有限責任原理の回避
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 05:24 UTC 版)
「有限責任」の記事における「債権回収と有限責任原理の回避」の解説
一方で、問題となる事業体の債権者からみれば、その出資者が有限責任にとどまることは、会社債務の弁済のために期待できる資産が当該事業体の資産のみであることを意味する。会社法では株式会社に配当制限を課すことによって、信託法では受益債権を信託債権に劣後するものとすることによって、債権者保護を図っている。 ただし、法人格に伴う有限責任性が濫用的に用いられた場合にはこれが否定されることがある。例えば、法人格否認の法理を援用して、会社の法人格を否定して会社と同視できる実質的経営者の財産からも債権の回収を図ることがある。また、出資者としては有限責任であっても、他の理由により固有の債務・責任を負担することはありうる。例えば、株主が取締役を兼任していれば、取締役としての責任を負うことがある。 これらは、実質的に見れば有限責任原理を回避して株主から債権を回収することになる。 また、事前の手配として、より直接的に出資者の責任を問う方法としては、株主であり経営者である者と、あらかじめ会社債務に関する連帯保証契約を結んでおくことが金融機関による融資の場面などを中心に行われており、いわゆるオーナー経営者が有限責任の利益を必ずしも原則どおり享受できるとは限らない。
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