債権の譲渡における債務者の抗弁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 14:10 UTC 版)
「債権譲渡」の記事における「債権の譲渡における債務者の抗弁」の解説
債務者は、原則、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる(468条1項)。 2017年の改正前の旧468条1項には「債務者が異議をとどめないで467条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない」とする異議をとどめない承諾による抗弁の切断の制度があった。しかし、単に債権譲渡を認識した通知をしただけで抗弁の切断という重大な効果を生じるのは債務者の保護の観点から妥当でないという批判があった。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)では旧468条1項を廃止し、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができるとする旧468条2項の規律を維持した。 なお、譲渡制限特約付の債権の場合の基準時は、対抗要件具備時ではなく、履行催告後に相当期間を経過した時、または、供託請求時が基準になる場合がある。 抗弁の切断を廃止する法改正後も、債務者が任意にその抗弁を放棄する意思表示をしたときは抗弁を切断する形での債権譲渡が可能となるが、包括的な抗弁の放棄の意思表示などは疑問視する見解も示されており、個々の状況の下で抗弁放棄の意思表示の効力が否定される可能性もある。
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