債務貨幣と公共貨幣の比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 14:20 UTC 版)
「公共貨幣」の記事における「債務貨幣と公共貨幣の比較」の解説
今日の各国の貨幣システムは、債務貨幣システムである。債務貨幣システムにおいては、貨幣量は基本的に、信用創造(市中銀行の貸付)によって増加し、信用収縮(貸付の返却)によって減少する。好況時には信用創造が景気を更に過熱させ、いったん不況に転ずると信用収縮が景気を更に悪化させる。 不況時には民間の消費需要が落ち込むので、政府が民間に代わって消費需要を作り出す必要にせまられる。このとき政府が債務を負って(国債を発行して)、その引き換えに貨幣(財源)を作り出し、財政出動(政府による消費需要の創造)を行う。しかし、財政出動により流通貨幣量(マネーストック)が増えて、一時的に消費需要が増えても、民間の新たな資金需要がなければ、増加した貨幣は投資へと循環せずに蓄蔵され(貨幣流通速度の低下)、持続的な景気回復には結び付かない。 債務貨幣システムにおける貨幣創造は、信用創造(市中銀行の貸付)によって行われるために、そこに利子がともなう。利子は資金需要者から広く集められ、市中銀行の配当として銀行株主へと流れ、経済格差を拡大させる。不況時の国債発行にともなう利払費もまた、主な国債購入者である市中銀行へと流れ、これもまた経済格差を拡大させる。こうした格差拡大の結果、増大した貨幣の多くが低所得層には行きわたらずに、不況時には貨幣が蓄蔵される傾向を強める。 公共貨幣システムにおいては、貨幣は公共機関(国家)が計画的に発行するため、景気変動を助長することがない。また、それは債務とは無関係に発行されるため、経済格差を生み出さない。したがって、公共貨幣システムは、持続的で安定的な経済発展に寄与するものである。
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