俺たちはみんな蓑虫空をみる
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評 言 |
児山正明氏は埼玉県現代俳句協会副会長、川越市俳句協会会長、「路」俳句会代表である。師系は富沢赤黄男―野原正作―児山正明。最初は短歌雑誌「詩歌」(前田夕暮)に所属していた。川越市で詩・短歌活動を行っているとき野原正作と知り合い交友関係を持つに至った。その野原から改めて俳句活動に専念するようすすめられ、1979年俳句同人誌「路」を創刊し現在に至っている。 児山氏の句集は現在のところ、『凍りついた神々』(平成10年2月1日刊行)のみである。彼は「路」経営に全力を挙げていて個人句集を編む余裕がなかったのかもしれない。したがって、『凍りついた神々』には彼の初期の作品が比較的多く収録されている。野原正作を通して富沢赤黄男、高柳重信の多行形式の流れをくんでいる作品が多い。 もずく 喰い/あすこの 山 から/雨が降る この句は多行形式であるとともに「喰い」、「山から」の前後が1字空けられ、つながりを意識的に絶っていて、重信の傾向に同調している。 鉛筆の芯折れ白い時間帯 この句には富沢赤黄男からの影響がみられる。このような作品傾向は今でも続いていて「裸では恥かしいから風になる」、「大根を洗えば動く人の足」のような作品が生まれている。 児山氏は、俳句は吾等の生活の場である。だから吾等の俳句は吾等の生活の場から生まれ来る、とも言っていて、自分の個性を変わらずに主張しながら句作りに励むユニークな俳人であると言えよう。 |
評 者 |
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備 考 |
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