修復的であることの判断基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 06:42 UTC 版)
「修復的司法」の記事における「修復的であることの判断基準」の解説
ハワード・ゼア(英語版)は、修復的司法の古典と評されるその著書『Changing Lenses:A New Focus for Crime and Justice』の中で、ある刑事司法システムが修復的であるか否かの判断基準として、5つの大基準と、そこから導出される小基準を示している。これらを要約すると、以下の通りである。 被害者が正義を実感できるシステムであること不正義を適切に認識していること 被害者が関係者に真実を語る機会がある等、発言権が保障されていること 被害者が損害回復、物的・心的支援、犯罪事実等に関する情報を得ていること 加害者が正義を実感できるシステムであること加害者が自身の行動を理解し、責任を取るよう促されていること 事態の健全化が促され、実際に健全化の機会が与えられていること 行動改善を促され、その後の行動を監視するシステムがあること 加害者の家族が支援・援助を受けていること 被害者・加害者間の関係を念頭に置いたシステムであること適切な場合には対話できる機会が保障されていること 情報交換の機会があること コミュニティの関心が考慮されるシステムであること手続と結果とが公にされること コミュニティに対する保護・損害回復が考慮されていること コミュニティが手続に関与していること 将来に向けた取り組みが行われていること事件の原因たる問題及び事件の結果によって生じた問題の解決に向けた対応策が立てられていること 結果を改善にフィードバックする対応策があること これらの基準をより多く満たせば充たすほど、当該システムはより「修復的である」と評価されることになる。 ただしゼアは、ある制度を「修復的であるか否か」というゼロサムの問題としては捉えず、「極めて修復的」「ほとんど修復的」「部分的に修復的」「可能性として修復的」「偽又は非修復的」という連続するものとして評価すべきとしている。
※この「修復的であることの判断基準」の解説は、「修復的司法」の解説の一部です。
「修復的であることの判断基準」を含む「修復的司法」の記事については、「修復的司法」の概要を参照ください。
- 修復的であることの判断基準のページへのリンク