修復による問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 21:17 UTC 版)
「バッカスとアリアドネ」の記事における「修復による問題」の解説
『バッカスとアリアドネ』が描かれたカンバスは1500年代に2度筒状に丸められ、その結果この絵画の保存状態に悪影響を及ぼした。19世紀末から絵具の剥落を防ぐための修復が何度も行われており、最近の、そしてもっとも論争の的になった修復は、1967年から1968年にロンドン・ナショナル・ギャラリーで行われた修復だった。 この修復では、絵画の表面に塗られていた変色したワニスを除去するときに多くの絵具が剥離してしまい、広範囲にわたっての描き直しを余儀なくされる。この描き直しは画面左側の広々とした空の部分(もっとも絵具が剥離し損傷を受けた箇所)が、オリジナルと比べて平坦で淡い色調になっていると美術評論家たちに指摘された。ティツィアーノは、全体の色調を調えるために絵画表面に様々な成分を微妙に含んだワニスを塗布しており、そのワニスの除去が絵画の全体的なバランスを壊したと非難されたのである。これに対しロンドン・ナショナル・ギャラリーは、塗り重ねられたワニスが絵画を茶色に変色させていたため除去せざるを得ず、それに伴う絵具の剥離は不可避なものであったと反論している。
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