例1 打ち上げ時の総質量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 13:30 UTC 版)
「ツィオルコフスキーの公式」の記事における「例1 打ち上げ時の総質量」の解説
LE-7Aエンジン(液体酸素・液体水素を推進剤とし、比推力 440 s)を使用した 60 t のSSTOを、衛星軌道に到達させるために第一宇宙速度 7.9 km/s まで加速したい場合、推進剤も含めた打ち上げ時の総質量は、 m 0 = m T exp ( Δ V I s p g ) = 374.8 t {\displaystyle m_{0}=m_{T}\exp \left({\frac {\Delta V}{I_{sp}\,g}}\right)=374.8~\mathrm {t} } から 375 t となり、自重を引くことで最低でも 315 t の推進剤が必要なことがわかる(この自重の中には、膨大な量の推進剤を入れておく燃料タンクやエンジン、軌道へ運ぶペイロードその他の構造物の質量を含む)。質量比は6.25となる。この条件で、地球の大気や自転の影響を無視して加速を水平方向にした場合、地表面すれすれにを回る衛星として存在できる。 なお、上記はツィオルコフスキーの公式だけの話であり、実際の地表からの打ち上げでは大気の影響を避けるため、まず垂直方向に打ち上げる。この場合、自重以上の推力(LE-7Aエンジン1機の推力は 100 tf 程度)が無ければ、重力のために 1 mm たりとも昇がらない(専門用語では重力による損をまとめて重力損失と言う)し、空気抵抗、推力損失(大気圧中でロケットエンジンを使用することによる損失)もある(実際の離床にはSSTOにLE-7Aを複数付けることや固体ロケットブースターが必須である)。また、SSTOに翼を付け揚力を得て水平に加速すれば、自重以上の推力は必ずしも必要はないが、空気抵抗や推力損失がより大きくなる。宇宙速度に達するための推進剤のほかに、その高度に達するまでの推進剤が必要となる。
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