使われる局面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 04:39 UTC 版)
個体群生態学においては、個体群の一部を採集し、その個体からさまざまな情報を得るのが通例である。たとえば体長、体重、性別、栄養状態、成長の段階、年齢などがそれである。しかし、たとえば個体の寿命はここからは分からない。飼育下で確かめる方法は、生理的寿命が分かるだけで、生態的寿命、つまり、その生物が生活している場で、実際に達成される寿命はまた別である。これを知るためには、個体識別を行なった上で、追跡調査を行なうことになる。 生息区域の中で、それぞれの個体がどのように移動しているかを知るためにも個体識別が必要である。例えば干潟に巣穴を掘って多数のカニが住んでいるが、次の日に見た時に、同じ巣穴にいるのが同じカニである保証はない。個体識別が行なわれていれば、これを確認することができる。 動物行動学でも、特定個体を継続的に追跡することは、一定時間の範囲だけを見た場合の解釈を大きく変えるものになり得る。日本でのニホンザルの研究はそれまでのサルの社会への認識、研究法を大きく変えることになった。ニホンザルの場合、一部では家系までもが追跡調査されている。
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