併用禁忌・薬物相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 16:13 UTC 版)
「エリスロマイシン」の記事における「併用禁忌・薬物相互作用」の解説
かつてエリスロマイシンを投与した場合に突然死を起こした症例が報告されたため、大規模なコホート研究が行われ、ベラパミルやジルチアゼムなどをエリスロマイシンと同時に投与した患者において発生し得る、頻脈や心臓性突然死との関連が明らかにされた。エリスロマイシンは、シトクロムP450 の1つであるCYP3A4と複合体を形成して、CYP3A4を阻害し、ベラパミルやジルチアゼムなどの代謝も遅らせる。このため、それらの薬剤やQT時間を延ばすような薬剤を使用している患者に対して、エリスロマイシンの投与は避けるべきであると結論付けられた。他の例としてテルフェナジン (Seldane®, Seldane-D®)、アステミゾール (Hismanal®)、シサプリド(Propulsid®, 多くの国でQT時間を延長させる効果のため認可が取り消された)、ピモジド (Orap®) が挙げられる。 さらに、エリスロマイシンはCYP3A4の阻害作用に加えて、P糖タンパク質の機能も阻害するため、他の様々な薬物の代謝や排泄などに影響を与え得るため、薬物相互作用に注意が必要である。なお、エリスロマイシンの胃酸に対する不安定さを改善するために化学修飾を行って開発した、同じ14員環マクロライド系抗菌薬であるクラリスロマイシンでも、同様の現象が知られている。 また、エリスロマイシンの作用点は細菌のリボソームだが、これはリンコマイシンやクリンダマイシンと作用点が重なる関係で、リンコマイシンやクリンダマイシンの作用が消える。
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