作中の民族表現について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 05:47 UTC 版)
「ドリトル先生航海記」の記事における「作中の民族表現について」の解説
本作に登場するクモサル島の住民は「インディアン」とされていて、ドリトル先生を「王様」に祭り上げ、戴冠式まで執り行うが、基本的に南北アメリカのインディアンやインディオには「王様」は存在しない。例外はアステカやインカ帝国など、ラテンアメリカのごく一部のインディオのみである。 インディアンにしてもインディオにしても(英語では両者は同じものである)、伝統的に共有・平等文化を是としており、このアステカやインカのような非常に特殊な例をのぞいて、その社会には身分制度や王族は存在しない。そもそも彼らの社会には「王様を選ぶ」という文化風習は存在せず、必然的に「王冠」を被るとか「戴冠式」などの習慣も無い。「インディアンは王が君臨する野蛮な民族集団である」というイメージは、白人の誤解から生じた偏見であり、植民地拡大を正当化するフィクションであり、今なおインディアン文化をミスリードさせ続けている重大なステレオタイプである。また、ポリネシアが黒人のバンポ王子に「ホッテントット」と蔑称を投げかける場面などが問題視されたことから、アメリカで1997年より刊行されている改訂版では該当箇所の記述や一部の挿絵が削除されている。
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