低放射化フェライト鋼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/11 08:12 UTC 版)
「低放射化材料」の記事における「低放射化フェライト鋼」の解説
低放射化フェライト鋼は、鉄とクロム、タングステンなどによる鋼の一種である。基本的な合金設計指針は、熱交換器等に用いられるフェライト系耐熱鋼であるMod.9Cr-1Mo鋼(T91)を踏襲しているが、フェライト系耐熱鋼の強化元素であるモリブデンやニオブをタングステンやタンタルに置き換えることによって誘導放射能の低減が図られている。低放射化フェライト鋼の基本コンセプトは1983年に提示され、その後欧米や日本において開発が進められた。現在では、核融合研究を進める中国、韓国、インドも、国際熱核融合実験炉ITERのテストブランケットモジュールで使用するために、急速に開発を進めている。 各国で開発が進められている代表的な低放射化フェライト鋼の概要は次の通りである。 F82H - 日本原子力研究所(現:日本原子力研究開発機構)と日本鋼管(現:JFEスチール)が1985年頃に共同で開発した日本を代表する低放射化フェライト鋼である。基本組成は、Fe-8Cr-2W-0.2V-0.04Ta-0.1Cであり、低放射化の観点から窒素を低減したため、フェライト生成元素であるクロムの量を8%まで低減している。 EUROFER - EUが1997年に開発した低放射化フェライト鋼である。基本組成はFe-9Cr-1.1W-0.11C-0.2V-(0.06~0.09)Taであり、F82Hに比して靭性の観点からタングステンの量を低減しているのが特徴である。 CLAM - 中国が2000年代に開発した低放射化フェライト鋼である。基本組成は、Fe-9Cr-1.55W-0.2V-0.15Ta-0.11Cであり、F82HとEUROFERの中間のタングステン量を持つ。 ARAA - 韓国が2010年代に開発した低放射化フェライト鋼である。ARAA-1の特徴として微量のZrとTiの添加が施されている。 ORNL9Cr - 初期に米国が開発した低放射化フェライト鋼であるが、現在は開発が行われていない。
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