伝承成立の側面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 06:22 UTC 版)
紀元前4世紀ごろからローマ人の間でアイネイアースの伝承が普及したと考えられている。しかし、その伝承を壮大な叙事詩に歌い後世に大きな影響を与えたのは、ウェルギリウスの『アエネーイス』である。詩人たちのパトロンであり、アウグストゥスの友人でもあったガイウス・マエケナスは、詩人たちにアウグストゥスを称えた詩を作るよう要請していた。ウェルギリウスはこれに応え、アウグストゥスが属したユリウス氏族が祖先と主張するアイネイアースを長編の詩に詠うことによって、アイネイアース伝承を豊かにし、ユリウス氏族の使命を神秘化することによって、アウグストゥスによる元首政を堅固なものにすることに寄与した。 因みに伝承ではアエネアースの長男アスカニウスは父と新しい母と離れ、遠方の土地にアルバ・ロンガを築いた。後にこの都市は義母と父との間に生まれた異母兄弟のシルウィウスに譲られ、シルウィウスの遠い子孫であるロームルスとレムスの双子の兄弟がローマを建国する事になる。つまりラテン人とトロイア人の血を引く王家に端を発する訳であるが、これもより古い民族と自民族の関連を望んだ民族神話の一種であろう。
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