人間の平等について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 03:35 UTC 版)
ムスハフの神の啓示では、「人類は一つ」という見解がある。また、「(人類は一つではない。)人類には、地獄に落とすために作られた多くの人間もいる」、そのため、「そういう敵は殺した方がいい」とする見解まで幅広く、神は啓示している。 ごく初期の啓示では、天地創造神のもとで、人間の平等という理念に基づいて啓示による導きがあったとされている。人間はすべて神によって創造された同胞であるとする見解を基盤としている。 「人類は一つである。」という概念を啓示している句もある。この句は、「敵味方」という相対的な見方を越えている。それは、「もともと人類は、ただ一つの民族であったのが、後にばらばらに分裂した」(10章20)という句である。この句は、ムスハフ全体から全く孤立している位置にあるとされている。この啓示は、かつて一つであった人類が、いくつもの民族となり、いろいろな宗教を持つようになってしまった前に、神は、「人類は一つである」という啓示を下していたと解釈できる。この啓示は、もともと、人類全体は啓典の民であるという意味に解釈できる。 メッカ初期には、神による啓示の対象は、実存的な一人の人間であった。人間社会の奴隷制度の中の奴隷の身分というものは出てこなかった。 メディナ時代には、神は、人間の平等と正反対の啓示を下した。それは、「神が、地獄の火を燃やすために作ったタイプの人間が、人間の中には、たくさんいる」(7章179節)、という啓示である。この啓示によると、神は、救済するために作った人間と、地獄の火を燃やすために作った人間の、二種類を存在させたことになる。 メディナ期において「信者は皆兄弟である」という啓示が下された。しかしこれは、人類の平等というものではなく、いわば神との契約上の平等を意味している。それは、イスラームの神の前にて結ばれた相互契約によって、権利・義務の面で完全に信者は平等であるということである、とされる。 ムハンマドはメッカ時代の4年目ころに、カアバを取り囲む偶像崇拝の何ケ所かを襲撃して偶像崇拝の集団を壊滅し、殺害したとされている。それは、「悪魔の節」を否認した後の出来事である。「悪魔の節」のあとに、「神は唯一神である」という啓示が下された。そのあとに、ムハンマドは、偶像崇拝の集団を襲撃した。
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