人工的な窒素固定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 14:50 UTC 版)
20世紀に入ると、ハーバー・ボッシュ法が発明され、窒素と水素からアンモニアが合成されるようになった。またオストワルト法によりアンモニアから硝酸が人工的に作られ、肥料として用いられるようになった。これらの化学手法が工業化されることで、現在の生体窒素の半分が工業的に固定化された窒素を利用している。言い換えると、我々の体内にあるタンパク質のうち、半分はどこかの工場でハーバー・ボッシュ法を経たものが、窒素循環により巡ってきたものである。 全世界のアンモニアの年間生産量(2010年)は1.6億tで、そのうち8割が肥料用であると言われている。生物による窒素固定は1.8億t、雷等の自然放電による生成と排気ガスのNOxで0.4億tと言われている。 人工肥料による過剰な窒素は土壌から流出し、河川・沼沢地・海洋で富栄養化や無酸素化などの環境問題を起こしている。人類の安全な活動領域を定めたプラネタリー・バウンダリーによれば、農業による窒素固定の限界値は年間3500万トン、大気中の窒素ガスは年間4400万トン以下という指標が定められている。しかし窒素生産量は2015年時点で1億5000万トンに達している。
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