事象の地平線
決してふれることのできない「事象の地平線」のかなた
アルバート・アインシュタインの一般相対性理論が発表されてまもなく、ドイツの物理学者カール・シュワルツシルドは、その方程式にしたがって考えると、空間のある領域が極端にゆがみ、外部の世界から分離してしまうことに気がつきました。この極端にゆがんだ空間のことを現在は「ブラックホール」と呼んでいます。ブラックホールの構造は、基本的にはすべて同じで、中心にあるきわめて重い天体(「特異点」)の周りを、不思議な輪のようなものが取り囲んでいます。この輪の内側は完全に外の世界と分離しており、いったんこの輪の中に入ると2度と外に出ることはできません。「地平線の向こうで起こっている出来事は知ることができない」の意を込めて、この輪のことを「事象の地平線」と呼ぶようになったのです。
「事象の地平線」は、脱出速度=光速度の地点
「事象の地平線」の輪の中は、重力が非常に強く、どんな物体も外に向かって運動することはできません。ブラックホールの中は、井戸のような深いくぼみになっており、たとえ光のように速い速度で移動するものであっても、抜け出せない空間になっています。ちょうど「事象の地平線」の位置が、光の速度で脱出できるギリギリの境目であり、たとえ光であっても、「事象の地平線」を超えた瞬間からそのままブラックホールを回る軌道に永遠に組み込まれてしまうのです。
「定常型」ブラックホールのほか、「自転型」や「電荷型」もある
ブラックホールの中心は、そこにもともとあった星の質量をすべて含んでいます。重力のはたらきで、星の全質量が一点に集中し、無限大の密度をもつ、まったく質量のない「特異点」に集約されるのです。このブラックホールにはいろいろな形のものがあります。「特異点」を「事象の地平線」が囲んでいるという基本構造は同じですが、一般的な「定常型」のほかに、自転している「自転型」や、電荷があり2つの「事象の地平線」をもつ「電荷型」など、さまざまな形態があります。
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