事前的保障手段
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/20 05:04 UTC 版)
事前的保障とは、憲法で一定の制度をあらかじめ定めておくことにより、憲法を侵害する行為をできないようにすること。予防的保障、実体的保障ともいう。 宣言的保障憲法の最高規範性の宣言 - 憲法が国家の最高法規であり、憲法に違反する行為は違憲無効である旨をあらかじめ宣言することで、憲法に違反する行為を行えないようにする。日本国憲法では、98条1項が相当する。 基本的人権の普遍的・永久的の宣言 - 立憲的意義の憲法において最も重要な規定である基本的人権の保障について、基本的人権が普遍的・永久的であることを宣言し、基本的人権の侵害行為、ひいては憲法の侵害行為を行うことができないようにする。日本国憲法では、11条及び97条が相当する。 公務員等の憲法尊重擁護義務 - 国家権力を直接に行使する国家元首や公務員などに、憲法尊重擁護義務を課すことで、義務違反となる憲法侵害行為をできないようにする。倫理的な憲法保障制度である。日本国憲法では、99条が相当する。 手続的保障硬性憲法 - 憲法改正の手続について、通常の法律よりも厳格な手続を要求し、容易に憲法改正することができないようにして、立法権(議会)により憲法が保障する制度を失わせられるという憲法の侵害行為を困難にさせる。日本国憲法では、憲法改正に各議院で3分の2以上の国会議員の賛成と国民投票で過半数の賛成を要求している96条1項が相当する。 制度的保障(機構的保障)権力分立制 - 国家権力を分散させて、相互に均衡・抑制を図ることで、国家権力による憲法侵害行為が行われないようにする。日本国憲法では、国家の三権(立法権・行政権・司法権)を規定する41条・65条・76条や、地方自治制度を規定する第8章などの規定が相当する。
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