世界大戦期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 10:09 UTC 版)
1930年に『夜歩く』と題する、パリのナイトクラブの一室を密室に仕立てた長編で、ジョン・ディクスン・カーがデビューした。以降1972年まで本名と筆名カーター・ディクスンで多くの作品を発表する。不可能犯罪物では元祖「密室講義」で知られる『三つの棺』と、密室の中で他殺死体と共に見つかった男の裁判を描いた『ユダの窓』(ディクスン名義)の二つが存在。他『プレーグ・コートの殺人』『白い僧院の殺人』『火刑法廷』『曲った蝶番』『爬虫類館の殺人』『囁く影』『妖魔の森の家』などがある。カーのシリーズ・キャラクターはギデオン・フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿、アンリ・バンコラン、マーチ大佐の四人が知られる。 不可能犯罪を専門にした作家は他にもキャロライン・ウェルズ、アントニー・ウィン、クレイトン・ロースン、H・H・ホームズ(アントニー・バウチャー)、ピエール・ボアロー、ジョゼフ・カミングスなどがいる。カー以降の専門作家を「密室派」としてひとくくりにすることもあった。 この時期の主な長編は、ヴァン・ダイン『カナリア殺人事件』(1927)、フリーマン・ウィルス・クロフツ『二つの密室』(1932)、エラリー・クイーン『チャイナ橙の謎』(1934)、ジョナサン・ラティマー『処刑六日前』(1935)、レオ・ブルース『三人の名探偵のための事件』(1936)、クレイトン・ロースン『帽子から飛び出した死』(1938)、アガサ・クリスティ『ポアロのクリスマス』(1938)、ヘイク・タルボット『魔の淵』(1944)他。短編ではロナルド・ノックス『密室の行者』、ジョルジュ・シムノン『クロワ・ルース街の小さな家』、デイリー・キング『釘とレクイエム』、マージェリー・アリンガム『ボーダー・ライン事件』などがある。
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