不安の除去、鎮静、健忘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/26 08:01 UTC 版)
「麻酔前投薬」の記事における「不安の除去、鎮静、健忘」の解説
手術を受ける多くの患者が不安を抱いていることに間違いはない。術前に患者の不安や恐怖心を取り除くことは、患者の麻酔や手術に対する満足度だけではなく、麻酔を円滑かつ安全に行うためにも有用であり、術後にも影響を及ぼす。 術前の不安を除去するには、必ずしも薬物が必要というわけではない。麻酔科医による術前訪問時の診察や、事前の説明は、薬物投与よりも患者の不安を取り除くのに有用である。患者の信頼を得ることができれば、麻酔導入の協力が得られ、円滑な導入が可能となる。しかし、すべての患者が術前の説明で不安が取り除かれるとは限らない。また、記憶を消失させることは、必ずしも好ましいことではないかもしれないが、点滴確保、硬膜外麻酔やくも膜下麻酔時の穿刺に対する恐怖心や痛みなどの記憶を消し去ることもある意味では大切なことである。術前の不安の回避や鎮静、好ましい健忘は術後のストレスを軽減させ、術後管理の上でも有用である。 これらの目的を達成させるためには、麻酔前投薬が必要となってくる。現に多施設で何らかの前投薬が投与されている。理想的な薬物は、投与時の苦痛がなく、作用時間が短く、呼吸系への抑制が少なく、術後の覚醒に影響を与えないものである。理想に近い薬物として、ベンゾジアゼピン系薬物が広く用いられるようになった。その他、抗ヒスタミン薬であるヒドロキシジン、高血圧や精神障害の治療薬として使用されているα2受容体作動薬のクロニジンやデクスメデトミジンが用いられている(日本ではクロニジン・デクスメデトミジンは保険適応外)。
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