不安と抑圧とは? わかりやすく解説

不安と抑圧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 04:51 UTC 版)

「不安」の記事における「不安と抑圧」の解説

いわゆる精神分析において、神経症ノイローゼ)を発症するメカニズムが不安と抑圧の関連にあるとされている。精神分析の祖であるフロイトSigmund Freud, 1856-1939)は神経症患者臨床から、生殖行為障害により神経症発症することをつきとめその際不安がその性欲抑圧何らかの影響与えていると仮定した。<抑圧>とは性欲表出妨げ機能障害であり、そしてそのような欲動がさらけ出されることにより社会的な適応妨げられることを防ぐ防衛機制でもある。 フロイト自身のその両者の関係についての仮定前期後期とで大きな違いがある。前期においてはもっぱら性欲リビドー)を一種生命力エネルギー)と捉え生殖行為何らかの事情理由正常になされなかった場合その際消費されるはずであった性欲解消されることなく無意識の内に蓄えられそのような充足されず変質させられエネルギーが<不安>として表出されるというものであった前期方向性科学生理学的性格強く、またこのような性欲についてのエネルギー転換代償行動フロイトが「経済的」と呼ぶのも、不安をこれらのエネルギー転換の際の等価である交換物とみなしているからである。 後に彼は自らの説を修正し、「抑圧が不安を引き起こす」を、「不安が抑圧引き起こす」と捉えなおした後期においては社会的な禁令」(タブー)や「禁令命じるもの」(超自我)といった新たな要素が関わっている。それによると、我々の言う「良心」や「理性」といったものは、我々の社会生活上において不適当想定されている人間欲動(主に性欲)の表出抑えるため、我々自身の内に内在化された社会的な禁令であり、それが<超自我>と呼ばれている。我々が上記のような欲動駆られた際、それを抑えようとする超自我との葛藤コンフリクト)を恐れ、この葛藤解消するために不安という「危険信号」を自我発することにより欲動挫折させられるという。このように不安が自我発する心的状態」として捉えなおされたことにより、前期比べてより心理学的性格強くなったと言えよう。

※この「不安と抑圧」の解説は、「不安」の解説の一部です。
「不安と抑圧」を含む「不安」の記事については、「不安」の概要を参照ください。

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