上位中産階級
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/22 01:29 UTC 版)
上位中産階級(Upper-middle class)とは、社会集団に関する社会学上の概念である。

概要
中産階級のうち高いほうの地位にある者により構成される。下位中産階級と対になる語であり、上流階級に次ぐ地位にある。上位中産階級の定義についてはさまざまな議論があり、社会学者のマックス・ヴェーバーによれば、上位中産階級は学位と十分な収入を確保した、教養のある知的職業人により構成されている。
先進国では最多の人口を持つアメリカ合衆国の上位中産階級も同様に、収入と教育、職業を有力な指標として用い、定義される[1]。アメリカにおける上位中産階級は、平均以上の収入や学士以上の高等教育の学位を確保しているだけでなく[1]、仕事においても高度な自立性を保っている[2]ホワイトカラーの知的職業人によって大部分を構成していると定義される。個々人の主要な職業上の課業は、概念化、相談、指導に集約される傾向にある[3]。
伝統的な階級社会を特徴とするイギリスでは、同国の相続制度により、貴族や地主といった上流階級の次男以下の息子たちがこの階級に送り込まれる構造を呈するため、上流階級と上位中産階級の境界はしばしば曖昧となる[4]。ジェントルマンやダンディの出現は、この社会構造と大きく関連している。
脚注
- ^ a b Thompson, William; Joseph Hickey (2005). Society in Focus. Boston, MA: Pearson. ISBN 0-205-41365-X
- ^ Eichar, Douglas (1989). Occupation and Class Consciousness in America. Westport, Connecticut: Greenwood Press. ISBN 0-313-26111-3
- ^ Ehrenreich, Barbara (1989). Fear of Falling, The inner Life of the Middle Class. New York, NY: Harper Collins. ISBN 0-06-0973331
- ^ 新井潤美. “ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級”. 東京大学. 2025年6月22日閲覧。
関連項目
- WASP、大量生産#フォード生産方式
- ブルジョワジー、小ブルジョア、ジェントリ、分衆、消費社会
- ジェントルマン、ダンディ
- クラーク (農家)、クラーク撲滅運動、黒五類 (文化大革命)、敵対階層(北朝鮮における出身成分の三階層のひとつ)
- 一億総中流、昭和元禄、高度経済成長
- 伝記ミュージカル・伝記映画「エビータ」 - 上位中産階級に属する実父と妾の間に生まれた主人公女性エバ・ペロンが、(実父の葬儀参席を実母一家もろとも拒絶され死に目に会えなかったトラウマ体験もあり)作中で幾度も「実父本宅一家が属する上位中産階級」全体に憎悪を向けるシーンが登場し、夫フアン・ペロンが大統領に就いてからは上位中産階級を没落させる諸政策を次々と実行に移させる(一時は先進国入りしていた経済大国であったアルゼンチン没落の原因のひとつでもある)。
- イギリスのテレビドラマ「ダウントン・アビー」 - 1910年代を舞台にしたシーズン1では、医師の息子で弁護士である上位中産階級出身のマシューが、遠縁にあたる上流階級の貴族クローリー家の爵位と財産を相続する過程が描かれる。本来相続させる予定であった跡取りを事故で失ったことで、他人同然で貴族ですらない遠縁の若者に相続させなければならなくなったクローリー家側の心情や、突如貴族としての生活を送らなければならなくなったマシュー側の心情などが丁寧に描かれており、かつての上流階級と上位中産階級の関係性を知ることができる。
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外部リンク
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