三丹田説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/03 02:05 UTC 版)
伝統的に、上中下の「三丹田」説である。眉間奥の上丹田、胸の中央にある中丹田、ヘソ下3寸(骨度法)にある下丹田を指す。上丹田は神(しん)を蔵し、中丹田は気を蔵し、下丹田は精を蔵す、とされている。「上丹田、蔵神之府、中丹田、蔵気之府。下丹田、蔵精之府」。狭義には精と気と神は区別されるが、広義には全て同じ「気」である。精・気・神は、「三宝」とも呼ばれて「性命之根本」であり、性はこころ、命はからだの意味で、「心身の根本」の意味である。解剖学的には該当臓器などはないが、心身医学の領域では、自律神経の働きと免疫機構の関係が注目されて、太陽神経叢が丹田に相当すると考えられている。丹田の概念を、インドのヨーガのチャクラとの類似からその模倣とする考えがあるが、丹田は中国医学の構造と繋がりが深く、中国医学思想史研究ではインドの身体論とのかなりの相違から、その考えは認められていない。近代まで歴史という概念の存在しなかったインドと、中国との間における文献学的な身体論の交流史は今後の研究課題とされている。 上丹田 上丹田は、泥丸、天谷、内院、印堂などの別名がある。 中丹田 中丹田は、絳宮、黄堂、土府、膻中とも呼称される。 下丹田 下丹田は、鼎、臍下丹田(せいかたんでん)、気海丹田(きかいたんでん)、神炉とも呼ぶことがある。それ以外にも、丹田には多くの名前が付されている。単に「丹田」と言う場合は、「下丹田」を指すことが多い。 丹田の中でも、特に「下丹田」は五臓の中心に位置し、五臓は人体の生命活動と密接に関係しているので、実際には最も重視されて正丹田とも呼ばれる。日本の禅や武道、芸道などにおいても丹田、特に「下丹田」を重視している。別名を、腹、肚、と書いて、はら と呼び、身心一如の境地に至るための大切なポイントとなっている。
※この「三丹田説」の解説は、「丹田」の解説の一部です。
「三丹田説」を含む「丹田」の記事については、「丹田」の概要を参照ください。
- 三丹田説のページへのリンク