三ヶ条の優先順位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 21:34 UTC 版)
「ロボット工学三原則」の記事における「三ヶ条の優先順位」の解説
条文の上では、三ヶ条の優先順位は第一条>第二条>第三条となっているが、場合によりその優先度が拮抗・逆転することがある。 単純に三原則の条文に従うなら、ロボットは人間に自己破壊を命じられればそれに従うはずである。しかし元々、第三条はロボットが高価で貴重な存在であったためにその保護のために設けられたものであり、ロボットの破壊はすなわち所有者である人間が損害を被ることであり、広義の第一条に含まれることになる。そのためロボットは自己破壊を命じられた際は、命令者にそれに見合うだけの理由の説明を求め、それが論理的に満足できるものでなければ従わないようになっている(U.S.ロボット社のロボット製品は全てレンタルであり同社の所有であったため、一層そうした能力が求められたと考えられる)。 『われはロボット』の一編『堂々めぐり』(ちなみにこの短編は、作中で初めて三原則の存在と条文が明確に示された作品である)では、水星で太陽発電設備の運用試験を行っていたパウエルとドノバンが、テスト中の新型ロボットSPD-13「スピーディ」の異常行動により窮地に到る話である。スピーディは特に高価で希少なモデルだったため、三原則の中で第三条が大きく強化されており、自身を危険にさらすあらゆる行動を避けるように設定されていた。これに対し、パウエルがスピーディに対して発電設備に必要なセレンの採取を軽い口調で命じてしまったため、ロボットの動作機構を侵すセレンの噴出地に近づいた際に弱い第二条と強い第三条のポテンシャルが拮抗してしまい、堂々めぐりの異常行動に陥ってしまったのである。結局、パウエルが水星の灼熱地獄に身を投げ出して生命の危機を演出し、第一条を発動させることでスピーディを機能回復させて窮地を脱している。
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