ワタ子実中のゴシポールの削減
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 16:18 UTC 版)
「遺伝子組み換え作物」の記事における「ワタ子実中のゴシポールの削減」の解説
ワタ(Gossypium hirsutum)の種子約1. 65 kg当たり、ワタ繊維1 kgが生産される。ワタの種子は21%の油脂とともに23%の高品質のタンパク質を含んでいる。しかし、ワタの種子自体や脱脂種子は反芻動物の飼料として利用されているが、食料としても単胃動物の飼料としても利用されていない。心機能と肝機能を障害するゴシポールが腺に含まれているからである。ゴシポールはセスキテルペンの一種である。そこで、棉実を食料、飼料として利用するために、腺を持たない変異ワタが発見されたのでそれを用いて腺欠損品種の育種がすすめられ、上市された。しかし、腺欠損品種は害虫抵抗性に関与しているテルペノイドを欠くため、極めて虫害に遭いやすいので農民に拒否された。そこで種子でのみゴシポールが削減された品種の開発を目的として、ゴシポールの前駆体であるδ-カディニンをファルネシルピロリン酸から合成する酵素であるδ-カディニン合成酵素を、ワタの種子特異的α-globulin Bの遺伝子のプロモーターを用い、RNAiで抑制した形質転換ワタが開発された。この形質転換植物の種子と若い芽生えにおいてのみゴシポールや関連物質の含量が低下しており、他の地上部や根では含量の変化はなかった。つまり、害虫抵抗性は大きくは変化せず、また、この形質は多世代にわたり安定に遺伝していた。
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