ローラ・LC87とは? わかりやすく解説

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ローラ・LC87

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/14 20:59 UTC 版)

ローラ・LC87
カテゴリー F1
コンストラクター ローラ・カーズ
デザイナー ラルフ・ベラミー
後継 ローラ・LC88
主要諸元
シャシー カーボンファイバー/ハニカムコンポジット複合構造モノコック
サスペンション(前) ウィッシュボーン, プルロッド, コニ製ダンパー
サスペンション(後) ウィッシュボーン, プッシュロッド, コニ製ダンパー
エンジン フォード-コスワース DFZ (Mader) 3500 cc, 575 ps, V8 (90°), NA, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション ローラ/ヒューランド FGB 5速, MT
重量 500 kg (1,100 lb) (燃料とドライバーを含む)
燃料 BP
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム ラルース・カルメル
ドライバー ヤニック・ダルマス
フィリップ・アリオー
初戦 1987年サンマリノグランプリ
出走 優勝 ポール Fラップ
15 0 0 0
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ローラ・LC87 (Lola LC87) は、フランスのレーシングチーム、ラルース・カルメル1987年のF1世界選手権に投入したフォーミュラ1カー。ラルフ・ベラミーが設計しローラ・カーズが製作した。

背景

ラルース・カルメルは1987年にF1に新規参入した2チームの内の一つであった。チームの創設者は元レーサーでありルノーワークスリジェでチームマネージャーを務めたジェラール・ラルースと、フランスの実業家ディディエ・カルメルである。他のF1チームと異なりラルースは参入初年度、独自の開発部門や車両生産設備を持っていなかった。1986年末にF1参戦を決定した後、車両の開発と製作をイギリスのレーシングカービルダーであるローラ・カーズに委託し作られたF1マシンがLC87である。この車両はラルース・カルメルチームから参戦したが、F1レギュレーションではコンストラクターズ選手権とは「製造者部門」の選手権であるため、ポイントはチームではなく製造者のローラに与えられた。翌1988年開幕戦からは後継のLC88が投入された。

開発

LC87はローラ創始者のエリック・ブロードレイと、1985年までマーチにいたラルフ・ベラミーによって共作された。前年までF1に参戦したハース・ローラTHLシリーズとの関連は無く、ローラのF3000マシン「ローラ・T87/50英語版」をベースとし、そこから多くのパーツを流用してLC87は作られた[1]。名称のLCとはチームの共同オーナー、ラルースとカルメルの頭文字である[2]

全体的な設計は「かなりコンベンショナル」な物であった。モノコックはカーボンとケブラーの複合素材製である。剛性を得るため幅広で、T87/50よりもホイールベースが延長され、F1に準じ燃料タンク容量が大型化された。サスペンションはダブルウィッシュボーン、フロントがプルロッド、リアがプッシュロッドで構成され、ダンパーはごく標準的な配置で設置された。ラルース・カルメルは前年末に準備が始まり、その時点で参戦カテゴリーを国際F3000にするかF1に参戦するか迷っていたチームであり[3]、依頼を受けたローラは冒険を避け手堅くまとめられたF1用シャシーを製作した[4]

エンジンは、スイスのハイニー・マーダードイツ語版がチューンした自然吸気3500ccのフォードコスワースDFZを搭載。DFVを積むローラのF3000同様エンジンを覆うカウルは無く、エンジン上部は外に露出している。トランスミッションはヒューランド製の5速であった。

LC87は重量過多で[5]、乾燥重量は規定の最小重量を30 kg以上オーバーしていた。チームは様々な施策により夏までに20 kgを軽減した[1]

レース戦績

ローラ・LC87はシーズン第2戦のサンマリノGPでデビューした(開幕戦にLC87の完成が間に合わず、初戦を欠場しFISAからは罰金を科せらた)。当初ラルースはフィリップ・アリオーの1台体制でシーズンに臨んだ。戦闘力に劣るマシンであったにもかかわらず、アリオーはこのレースを10位でフィニッシュした。次戦ベルギーでは8位となっている。このときまでにベラミーはエンジンコンパートメントを減らして車重を15ポンド (6.8 kg) 減量した。その後モノコック側の改良により4 kg軽量化する。アリオーはシーズン15戦中9戦でリタイア、完走は6回で、最高位はホッケンハイムヘレスメキシコでの3回の6位入賞により、アリオーは新チームに3ポイントをもたらした。シーズン終盤3戦でラルースはセカンドカーを投入、ドライバーは国際F3000で活躍していた新人ヤニック・ダルマスを起用した。ダルマスは最終戦アデレードで5位に入ったが、1カーエントリーで参戦登録していたラルースの2台目はコンストラクターズポイントの対象では無かったため、2ポイントは加算されなかった。ローラはアリオーの得た3ポイントによってコンストラクターズランキング9位となった。自然吸気エンジンを対象とするコーリン・チャップマン・トロフィーでは、マーチAGSを上回り、ティレルに次ぐ2位となった。

F1における全成績

(key) (太字ポールポジション

シャシー エンジン タイヤ No ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント 順位
1987年 LC87 フォード-コスワース
DFZ V8 3.5
G BRA
SMR
BEL
MON
DET
FRA
GBR
GER
HUN
AUT
ITA
POR
ESP
MEX
JPN
AUS
3(5) 9
29 ヤニック・ダルマス 19 14 5[6]
30 フィリップ・アリオー 10 8 Ret Ret Ret Ret 6 Ret 12 Ret Ret 6 6 Ret Ret

参考文献

  • David Hodges: Rennwagen von A–Z nach 1945. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1994, ISBN 3-613-01477-7.(ドイツ語)
  • David Hodges: A–Z of Grand Prix Cars. Crowood Press, Marlborough 2001, ISBN 1-86126-339-2.(英語)
  • Pierre Ménard: La Grande Encyclopédie de la Formule 1. 2. Auflage. Chronosports, St. Sulpice 2000, ISBN 2-940125-45-7.(フランス語)

参照

  1. ^ a b Ménard: La Grande Encyclopédie de la Formule 1. 2000, S. 323.
  2. ^ Team & Driver ラルースローラFUJI TVオフィシャルF1ハンドブック 64-65頁 フジテレビ出版/扶桑社 1987年7月6日発行
  3. ^ F1レギュレーション変更を喜んだ男 Racing On No.008 30頁 1986年12月1日発行
  4. ^ Hodges: Rennwagen von A–Z nach 1945. 1994, S. 141.
  5. ^ Hodges: A–Z of Grand Prix Cars. 2001, S. 129.
  6. ^ ラルースはシーズン開始時1台体制で登録したため、ダルマスはポイントの対象外であった。そのため最終戦オーストラリアで5位に入賞したものの、2ポイントは加算されなかった。

外部リンク




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