ローゼンバーグの形而上学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/02/25 02:10 UTC 版)
「意識の境界問題」の記事における「ローゼンバーグの形而上学」の解説
ローゼンバーグは境界問題を解決するために、因果に関わる独特の形而上学的アイデアを提出している。ローゼンバーグの理論では、世界はレセプティビティー(Receptivity)とエフェクティビティー(Effectivity)という根本的に異なる二つの性質から構成されているとする。エフェクティビティーの具体例としては、例えば電荷、スピン、質量などを挙げている。これらエフェクティビティーはそれぞれ様々な状態を取りうる(つまり自由度を持つ)が、しかしエフェクティビティー同士のみでは相互作用は起こさず、状態も確定しないとする。相互作用を媒介するのはレセプティビティーで、レセプティビティーは複数のエフェクティビティーを『個』(Indivisual)へと結びつける役割を持つ。こうして結び付けられたエフェクティビティー同士は互いの状態を束縛し合い(つまり相互作用する)、互いの状態を確定していき、『個』の持つ独特の性質をもたらす、とする。もっとも基本的な『個』、レベル0の『個』として、ローゼンバーグは素粒子を挙げている。こうしたレセプティビティーによる結びつけは、より高次のレベルへ続いていき、レベル0の『個』同士が結びついてレベル1の『個』を、レベル1の『個』同士が結びついてレベル2の『個』を、それぞれ生み出していくとする。そしてこうした結びつけのどこかのレベルで、人間の持つ意識があるとする。ここで意識体験の境界はレセプティビティーで結び付けられた範囲、すなわち『個』、によって決まっているとし、そして意識体験の内容は個の中で各エフェクティビティが取る状態の配置によって決まっているとしている。ただしローゼンバーグは、こうしたレセプティビティーによる統合の過程はひょっとすると熱力学第二法則と矛盾することになるかもしれない、と述懐している。以上が、ローゼンバーグの理論の概要である。より詳しい点についてはローゼンバーグの著書を参照のこと。
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