ロベルト・HP・プラッツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 05:04 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ロベルト・HP・プラッツ(Robert HP Platz)はドイツの現代音楽の作曲家、指揮者。
略歴
1951年生まれ。ヴォルフガング・フォルトナーに入門時、「君はとても基礎が出来るね、即様式模倣に取り掛かりなさい」と激励され、ウェーベルンの様式模倣を完成させたのが作曲家としての第一歩になった。その後シュトックハウゼンに先生を替え[1]、彼を含めたアシスタント全員でダンサーとオーケストラのための「祈り」の製作に取り掛かる。当時は現代音楽専門の指揮者がおらず、どのような雑用もこなしたことがきっかけで指揮にのめりこみ、ディプロマは指揮で取得してそのまま卒業した。ダルムシュタット講習会でも、シュトックハウゼン直伝の作曲技法は高評で迎えられクラーニヒシュタイン音楽賞を獲得、後に講習会で重要な働きをしたピアノ奏者クリスティ・ベッカーと結婚。
1989年に突然「オーケストラと2台のピアノとソプラノのためのグレンツゲンゲ・シュタインを基点とした壮大なチクルスを完成させなければならない」という夢を視たことがきっかけで、複数の作品を鎖のように編みあわす「フォーム・ポリフォニー[2]」という概念に到達する。前述の作品には「2台のピアノのためのシュタイン」が埋め込まれており、単独演奏も可能である。複数の作品の同時演奏は確かに1970年代に流行していたが、作品内のパラメータ関係を編み合わせる技法は彼の発案であり、現在もその作曲法を手放していない[3]。
ドナウエッシンゲン音楽祭1996で演奏された「ANDERE RÄUME/Echo II/Nerv II/TURM/WEITER」[4]は彼の創作の全決算として作曲され、この作品のために山を歩き回って採取した打楽器の木(それも実際に切断し、スリットドラムに加工したもの)から二つのオーケストラの同時演奏まで、彼の実力が最も素晴らしい形でコラージュされたと絶賛された。その後も、指揮と作曲両面で着実に業績を積み重ねている。指揮者としても、性格を反映してスタティックで淡白な振りが、多くの現代音楽作曲家から重宝されている。現在はヴュルツブルク音楽大学で教鞭をとり、ケルンに住む。
現在、リコルディ・ベルリンから1990年代以後の全作品が出版されている。それ以前にはエディション・モデルンとブライトコプフ・ウント・ヘルテルからでていた。
参考文献
- Toop, Richard. immer weiter: Formal Polyphonie und Robert H.P. Platz' Donaueschinger Zyklus. MAS 2, no. 6 (1998):61-76 「ANDERE RÄUME/nerv II/TURM WEITER/Echo II」
- Blumröder, Christoph von. 1980. ‘Nicht einfach, aber neu… zu Robert H.P. Platz’. Neuland Jahrbuch 1:94–95.
- Toop, Richard. 2001. 'Platz, Robert H(ugo) P(hillip)'. The New Grove Dictionary of Music and Musicians, second edition, edited by Stanley Sadie and John Tyrrell. London: Macmillan Publishers.
脚注
- ^ “Platz, Robert HP”. www.umpgclassical.com. Ricordi. 2020年6月10日閲覧。
- ^ “Immer weiter”. www.musikundaesthetik.de. www.musikundaesthetik.de. 2021年9月1日閲覧。
- ^ “Anderswo: Wand p.45”. issuu.com. Ricordi. 2020年6月10日閲覧。
- ^ “ANDERE RÄUME/Echo II/Nerv II/TURM/WEITER”. books.google.co.jp. books.google.co.jp. 2021年8月31日閲覧。
外部リンク
ロベルト・HP・プラッツ
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「ポスト・ファーニホウ」の記事における「ロベルト・HP・プラッツ」の解説
ロベルト・HP・プラッツは、複雑性についての文章を1990年に寄稿し、ヒュープラーの作品を指揮し、また彼のソロアルバムに推薦文を書くなど、この傾向と触れ合った経歴を持つ。ポスト・セリエルの最優秀の嫡子と見られていた彼も、1980年代後半からは「フォーム・ポリフォニー」と呼ばれる複数の作品の同時演奏を厳密にコントロールする作曲法を編み出した。複数の作品の同時演奏はそれほど新しい方法ではなかったが、「作品同士の音組織の交換」や「組み合わせの対位法」という新たな認識を示した。ファーニホウの作品で多く見られる多重非合理音価を独奏者に無理に課さず、複数の作品に分担させたと解釈することもできる。複数の作品を長大な連作のように扱う傾向はリチャード・バーレットと共通する。 ドナウエッシンゲン音楽祭で初演された“ANDERE RÄUME/nerv II/TURM/WEITER/Echo II”は5作品が自由にコラージュされ、一つの作品が他の作品のすかし模様のような働きを担うこともある。彼は「日本の伝統文化から多くのヒントを得た」ということである。なお、“TURM”の演奏時間は1.25秒であり、演奏可能な限り最大限の音符を詰め込んだ全1小節の作品である。
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