グリンカ:ロシア民謡「なだらかな谷間に沿って」による変奏曲 イ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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グリンカ:ロシア民謡「なだらかな谷間に沿って」による変奏曲 イ短調 | G. vi, 51 | 作曲年: 1826年 出版年: 1839年 |
作品解説
グリンカは、ロシア人として国際的な評価を得るに至った最初の作曲家。また、当時の多くのロシア人作曲家と同様に、貴族の身分で、言わばディレッタントとして音楽に携わるようになった。そして、イタリアやベルリン、パリにも足を運び、そこで触れた和声法にロシアの音楽の要素を折衷させる方法を模索した。その試行錯誤は、後のロシアの音楽が、グリンカを模範としながら新しい道を切り開いていったことから、ある程度成功していると言えるだろう。
初めての本格的な作曲を行った1822年の4年後に、22歳の若さで作曲されたのがこの作品である。10年以上の時を経て、1839年にグリンカの編纂による『音楽作品コレクション』に所収する形で出版された。このコレクションには、アリャビエフやダルゴムイシスキーの作品も収められている。まず、分散和音を主体とした伴奏が添えられて、テーマが美しい曲線を描きながらアッラ・ブレーヴェのアンダンテにより歌われる。続いて、このテーマがソステヌートの8分の12拍子による3声で扱われる第1変奏が置かれる。次の第2変奏は、レガートの4分の4拍子で書かれており、ここでは最早テーマの原形は明確な形では示されない。第3変奏では、一転してコン・フォーコ・イウ・ヴィヴァーチェとなる。但し、拍子は先立つ第2変奏から受け継がれる。この部分では、扱われる音域が拡大する。そして、続く第4変奏でもまたがらりと趣を変え、アダージョ・カンタービレのアッラ・ブレーヴェで半音階に富む形でメロディーが幅広い音域に響く。この作品を締めくくる第5変奏では、ヴィヴァーチェが指示され、4分の4拍子で音楽が運ばれる。そして、16分音符と16分音符による3連音符の音価が組み合わされる。
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