ロイシンジッパー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/24 05:22 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ロイシンジッパー (leucine zipper) はタンパク質の二次構造のモチーフの1つで、平行に並んだαヘリックスによる接着力を持つ。遺伝子発現の調整に関わるタンパク質などの二量化したドメインに共通して見られる。ロイシンジッパーは真核生物でも原核生物でも見られるが、主に真核生物の特徴である。
構造
ロイシンジッパーはタンパク質二量化ドメインとして機能する超二次構造であり、平行αヘリックスの接着力を生みだしている[1]。
ロイシンジッパーの構造上の特徴は、7残基の繰り返しの4番目の位置にアミノ酸のロイシンが配列することである。ロイシンジッパーは始めに、7残基おきに現れるロイシンで識別される転写因子の共通配列として同定された。これらのロイシンはコイルドコイルの疎水核を形成していることが後に明らかとなった。
ロイシンジッパーの半分は短いαヘリックスからなっている。通常のαヘリックス1巻きが3.6残基となっているのに対し、ロイシンジッパーのαヘリックスの場合は1巻きあたり3.5残基となっている。ロイシンは2巻きごとにもう一方の鎖のロイシンと直接接触している。
bZip(ベーシックジッパープロテイン)と呼ばれる転写因子のファミリーは塩基領域を持ち、水素結合を介してこの部分がDNA分子の主溝と結合する。ロイシンジッパーの領域がこの二量化を担っている。
生物学
ロイシンジッパーを持つタンパク質としては、通常の成長の調節を行う重要な転写因子であるc-fosやc-junなど(AP-1)や、myc、max、mdx1などのmycファミリーがある。もしこれらが過剰生産されたり致命的な部分で変異を受けたりすると、がんを引き起こす。これらのタンパク質はDNAと二量体を形成し、これはベーシックジッパープロテイン(bZip)とも呼ばれる。
脚注
- ^ Landschulz WH, Johnson PF, McKnight SL (1988年). “The leucine zipper: a hypothetical structure common to a new class of DNA-binding proteins”. Science 240 (4860): 1759–1764. doi:10.1126/science.3289117. PMID 3289117.
関連項目
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ロイシンジッパー
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「DNA結合ドメイン」の記事における「ロイシンジッパー」の解説
塩基性のロイシンジッパー ( bZIP )ドメインは主に真核生物で見られ、一部は細菌で見いだされる。bZIPドメインでは、7残基ごとに、ロイシンを含むαヘリックスが配置されている。あるヘリックスが他のヘリックスを見つけると、このヘリックスのロイシンはジッパーの歯のように相互作用し、2つのタンパク質を二量体化することを可能にする。DNAに結合すると、塩基性アミノ酸残基が糖リン酸骨格に結合し、ヘリックスが主溝に入り込み、遺伝子発現を調節する。
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