リンク 10
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/12 23:30 UTC 版)
リンク 10(英語: Link 10)は、イギリスのフェランティ社が開発した戦術データ・リンク[1][2]。アメリカ合衆国のリンク 11と同様の位置付けだが、互換性はない[1][2]。
来歴
1962年から1964年にかけて、フランス・ベルギー・西ドイツは、リンク 11よりもやや簡素な代替策となる戦術データ・リンクを開発しており、リンク 13と称された[3]。1965年にはリンク 13の洋上試験が成功したものの、結局、これは装備化されなかった[3]。
そしてこれを基に、イギリスのフェランティ社が開発したのがリンク 10(ローマ数字表記ではリンク X)であった[1][3]。また同社では、輸出向けの派生型としてリンク Yを開発し[2]、こちらは後にシグナール社によって製造された[1]。
通信規格
ネットワーク
使用する周波数帯は、リンク 11と同様に短波の抑圧搬送波単側波帯(SSB)通信、あるいは超短波・極超短波の組み合わせとされ[2]、3 kHzの帯域幅を使用する[1]。通信可能距離は150–180 nmi (280–330 km)とされる[1]。
リンク 11がパラレル通信なのに対して、リンク 10はシリアル通信で伝送を行う[1]。標準伝送速度は300-1200 bpsだが、後のリンク 10 Mk.2では伝送速度を4800 bpsに向上させた[2]。ネットワークに参加可能なユニット(Participating unit, PU)数は24程度だが[2]、これも後のバージョンでは30ユニットに増加した[1]。なおリンク 11とは対照的に、通信ネット管制ステーションに相当する役割は存在しない[1]。
メッセージ
リンク 10のメッセージはリンク 11のもののサブセットにあたる[1]。リンク 11では交戦状況やESM・IFF情報が含まれるのに対し、リンク 10では目標の位置情報のみが共有される[1]。標準メッセージ・フォーマットは2つの24ビット・ワードである[1]。
脚注
出典
参考文献
- 井上孝司『戦うコンピュータ(V)3―軍隊を変えた情報・通信テクノロジーの進化』潮書房光人新社、2017年。ISBN 978-4769816386。
- Friedman, Norman (1997), The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998, Naval Institute Press, ISBN 978-1557502681
リンク 10
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 14:31 UTC 版)
これは、後述のリンク 11に多くの面で匹敵する、イギリスのデジタル・データ・リンクである。開発はフェランティ社によって行われた。フェランティ社の社内呼称はリンク X、NATO呼称がリンク 10である。また、輸出用の派生型としてリンク Yが開発されており、これは北大西洋条約機構外部においてはもっとも一般的な戦術データ・リンク規格となった。 リンク 10/Xの性能は、おおむねリンク 11と同等で、HF-SSB、VHF、UHF帯を使用する。ただし、要求される情報処理性能が4分の1である一方で、1つの目標あたりの情報も3分の1となっている。なお、リンク 11との互換性はないため、イギリス海軍では、42型駆逐艦など大型艦ではリンク 11を同時に搭載するとともに、リンク 10搭載艦には、リンク 11受信専用の端末(ROLE: Receive-Only Link-Eleven)を搭載している。 一方、輸出用のリンク Yの通信速度は300 - 1200 bps、ネットワークに参加できるユニット数も通常は24程度である。また、現在販売されているのは改良型のMk.2で、通信速度は4.8 kbpsに増強されている。
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