ラトビア陸軍とは? わかりやすく解説

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ラトビア陸軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/21 08:51 UTC 版)

ラトビア陸軍
Sauszemes spēki
Latvian Land Forces
ラトビア陸軍の紋章
創設 1991年[1]
国籍 ラトビア
軍種 陸軍
規模 1,800人(2023年時点)[2]
上級部隊 ラトビア軍
ウェブサイト https://www.mil.lv/lv
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ラトビア陸軍(ラトビアりくぐん、ラトビア語: Sauszemes spēki英語: Latvian Land Forces)は、ラトビア陸軍組織[1]

概要

ラトビア陸軍は2023年時点で1,800名の現役兵を有しており[2]、1個機械化歩兵旅団で構成されている[2]。ラトビアはNATOおよびEUの加盟国であり、任務の一環として陸軍はアフガニスタンコソボなどへの派遣も行っている[1]

また陸軍以外の地上戦力として、2,300名からなる統合部隊、1,200名の現役兵と10,000名の予備役からなる国家警備隊ラトビア語版英語版が存在するほか、国内にNATOの前方展開部隊が交代で駐留している[2][3]

歴史

かつてラトビア共和国が保有していた陸軍は、1940年ソビエト連邦がラトビア共和国を併合した際に無力化され、その後将校の交代と「人民軍」への再編を経て、最終的にソビエト連邦軍に統合されて消滅した[4][5]。この際、陸軍の指揮官職にあった将校は3分の1が処刑されるかシベリアに送られている[6]

現在のラトビア陸軍は、ソビエト連邦からラトビアが独立を回復した1991年に創設された[1][5]。当初は徴兵制であり、期間は18か月であった[6]。創設直後は、ロシア軍が軍事施設を引き渡す際に建物を損壊したり備品を持ち去ったため、暖房もない豚小屋を兵舎とせざるを得ない事例もあったという[6]。独立後しばらくは、ロシア側の事情により国内にロシア軍が駐留しており、ラトビアへの脅威とみなされていた[6]

2007年に徴兵制を廃止[7]

2014年ロシアによるクリミア併合を受けて、ラトビアは再軍備や軍の戦闘即応能力の向上を図った[8]。さらに2022年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻を受けて、ウクライナへ軍事装備を供与するとともに軍事費を増額している[2]。また、同年7月には徴兵制度の再導入を発表し[8]、2023年4月の法改正により正式に導入している[7]

2024年3月、冷戦後最大規模となるNATO軍事演習「クリスタル・アロー」が首都リガの郊外で実施され、ロシア軍のラトビア侵攻を想定した訓練が行われた[9]

保有装備

現役

名称 画像 開発国 種別 型式 運用数 備考
装甲戦闘車両
T-55[2] 旧ソ連 主力戦車 3[2] 訓練用[2]
FV107 シミター[2] イギリス 装甲偵察車 170[2] 派生型を含む[2]
ASCOD[10] オーストリアスペイン 歩兵戦闘車 (42)[10] 2025年1月30日に、歩兵戦闘車型42両を発注[10]
パトリア 6x6[2] フィンランド 装甲兵員輸送車 8[2] フィンランドとの共同計画で調達したもので、保守・修理・可能な範囲の近代化はラトビア国内で行われる[11]。200両以上を発注[11]
ハンヴィー[1] アメリカ 軽装甲車 装甲型[1]
工兵・支援装備
M3[12] アメリカ 浮橋システム 4[12] ジェネラル・ダイナミクス・ヨーロピアン・ランド・システムズ[12]
砲兵
M109[2] アメリカ 155mm自走榴弾砲 M109A5ÖE 59[2]
K-53[2] チェコスロバキア 100mm野砲 23[2] 保管中[2]
L16[2] イギリス 81mm迫撃砲 28[2]
M120[2][13] 120mm迫撃砲 25[2]
歩兵火器
グロック[13][14] オーストリア 自動拳銃 G17[13][14]
G19[14]
G21[14]
G26[14]
H&K MP5[14] ドイツ 短機関銃 MP5A3[14]
H&K UMP[13][14] ドイツ 短機関銃 UMP9[13][14]
H&K MP7[14] ドイツ 短機関銃
ウインチェスター M1300[14] アメリカ 散弾銃
レミントン M870[14] アメリカ 散弾銃
モスバーグ[14] アメリカ 散弾銃
リー・エンフィールド[15] イギリス 小銃 120[15] 非可動の儀仗銃[15]
H&K G36[13][14] ドイツ 自動小銃 G36V[13]、G36KV[13]
AI アークティックウォーフェア[13][14] イギリス 狙撃銃 退役した可能性がある[14]
AI AXMC[14] イギリス 狙撃銃
M14[14] アメリカ 狙撃銃
H&K HK417[14] ドイツ 狙撃銃
PGM ヘカートII[13][14] フランス 対物狙撃銃 退役した可能性がある[14]
AI AX50[14] イギリス 対物狙撃銃
バレット M107[14] アメリカ 対物狙撃銃
FN MINIMI[13][14] ベルギー 軽機関銃
FN MAG[14] ベルギー 汎用機関銃
ブローニング M2[14] アメリカ 重機関銃 M2 QCB[14]
H&K AG36[13][14] ドイツ グレネードランチャー
H&K GMG[13][14] ドイツ グレネードランチャー
カール・グスタフ[2] スウェーデン 対戦車火器
Pvpj 1110[2] スウェーデン 対戦車火器
スパイク[1][14] イスラエル 対戦車ミサイル
RBS70[14] スウェーデン 地対空ミサイル RBS70を運用[14]。2025年3月には改良型のRBS70NGを発注しており、2026年から2030年にかけて導入予定[16]
スティンガー[14] アメリカ 地対空ミサイル

脚注

出典

  1. ^ a b c d e f g 柿谷 哲也『万物図鑑シリーズ 全161か国 これが世界の陸軍力だ!』笠倉出版社、2014年11月9日、90頁。ISBN 978-4-7730-8738-3 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. pp. 108-109. ISBN 978-1-032-50895-5 
  3. ^ Nicholas Fiorenza (2019年8月19日). “NATO's enhanced Forward Presence battlegroup uparmours in Latvia”. janes.com. 2025年1月26日閲覧。
  4. ^ 米国広報庁『ソ連とその衛星国 : 資料 第1 (東中欧におけるソ連の植民主義)』米国大使館USIS、1957年、15頁。doi:10.11501/2991574 
  5. ^ a b Vēsture” (ラトビア語). ラトビア軍. 2025年1月28日閲覧。
  6. ^ a b c d 別所利通「ラトビア防衛軍の再建」『陸戦研究』第41巻第474号、陸戦学会、1993年3月、99-109頁、doi:10.11501/2873062 
  7. ^ a b ラトビア基礎データ”. 日本国外務省 (2024年10月25日). 2025年1月28日閲覧。
  8. ^ a b ラトビア、18~27歳の徴兵制を導入 ロシアの脅威受け”. CNN (2022年7月14日). 2025年1月28日閲覧。
  9. ^ NATOが直面する自陣営の課題 ロシアと対峙で”. ダイヤモンド・オンライン (2024年5月9日). 2025年1月28日閲覧。
  10. ^ a b c Nicholas Fiorenza (2025年2月6日). “Latvia orders ASCOD IFVs”. janes.com. 2025年2月9日閲覧。
  11. ^ a b Nicholas Fiorenza (2021年11月1日). “Latvia receives first Patria 6×6 APCs under joint vehicle programme with Finland”. janes.com. 2025年1月26日閲覧。
  12. ^ a b c Peter Felstead (2021年10月7日). “Latvia to receive M3 amphibious bridging systems”. janes.com. 2025年7月21日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m Richard D. Jones,Leland S. Ness (2011-01-27) (英語). Jane's Infantry Weapons 2011-2012. Janes Information Group. p. 704. ISBN 978-071062947-0 
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag AM sagatavojusi jaunus armijas ieroču standartus” (ラトビア語). tvnet.lv (2018年7月12日). 2025年1月26日閲覧。
  15. ^ a b c Pabriks simboliskā dāvanā no Kanādas aizsardzības ministra saņem demilitarizētu šauteni “Lee Enfield”” (ラトビア語). ラトビア国防省 (2019年6月27日). 2025年1月27日閲覧。
  16. ^ Saab Receives Order for RBS 70 NG from Latvia”. ASDNews (2025年3月31日). 2025年6月24日閲覧。



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