ユートピア、ディストピア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 03:29 UTC 版)
「エコクリティシズム」の記事における「ユートピア、ディストピア」の解説
「フィクションにおけるユートピアとディストピア」も参照 サイエンス・フィクション(SF)やスペキュレイティブ・フィクションは、未来の世界や架空の世界を通して現代社会の問題を描いており、エコクリティシズムにおける重要な文芸ジャンルの1つでもある。理想郷の代名詞であるユートピアは、トマス・モアの著作『ユートピア』(1516年)の造語を由来とする。モアの作品はルネサンスの中で書かれており、人間が自然環境を改変する能力に自信を持ちはじめた時代の産物だった。その後の産業化や都市化によって、理性によるユートピアの建設ではなく欲望による世界の悪化も考察されるようになり、ディストピアという語が使われるようになった。ディストピアを最初に使ったのは、ジョン・スチュアート・ミルの1868年の講演だとされる。文芸作品ではエドワード・ベラミーの『顧みれば(英語版)』(1888年)やウィリアム・モリスの『ユートピアだより(英語版)』(1890年)も書かれた。 SFではユートピアやディストピアをめぐる作品が多数作られてきた。アーシュラ・K・ル=グウィンの『所有せざる人々』(1974年)では生存しうる限界の惑星に生きる人類をユートピア的に描き、他方で人類が抑制をしなかった地球が破壊された世界として対比される。オクティヴィア・E・バトラーは『リリスのひな鳥(英語版)』3部作(1987年-1989年)で、人間が自らの環境を破壊してディストピアを作り出す存在であり、人類そのものをバイオハザードとして表現した。
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