ユリノキ属とは? わかりやすく解説

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ユリノキ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/16 08:33 UTC 版)

ユリノキ属
1. ユリノキの葉と花
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: モクレン目 Magnoliales
: モクレン科 Magnoliaceae
亜科 : ユリノキ亜科 Liriodendroidae
: ユリノキ属 Liriodendron
学名
Liriodendron L.1753[1]
シノニム
下位分類

ユリノキ属(ユリノキぞく、学名: Liriodendron)は、被子植物モクレン科に分類されるの1つである。北米東部に分布するユリノキL. tulipifera)と、中国からベトナムに分布するシナユリノキ(L. chinense)の2種が知られる。落葉高木であり、は数カ所浅裂して特徴的な形をしている(図1)。は黄緑色、上向きに咲く(図1)。世界各地で植栽されている。

学名の Liriodendron は、ギリシア語の lirionユリ)と dendron(木)に由来する[2]。和名のユリノキ(百合の木)もこれと同様である。

特徴

落葉性高木であり、樹皮は灰白色で縦に裂ける[2][3](下図2a, b)。には隔膜がある[2]冬芽は合着した2個の托葉で覆われており、托葉は葉柄と合着していない[3]

2a. シナユリノキの樹形
2c. ユリノキの樹皮
2c. シナユリノキの葉

は互生で螺生し、枝先にまとまってつくことはない[2][3]。葉柄は長い[3]葉身は数カ所浅裂し特徴的な形をしている[2][4](上図2c)。

は枝先に単生、放射相称の両性花であり、雌性先熟雌しべが先に成熟し、その後で雄しべが成熟する)[2][3]。花の匂いは強くないが、テルペノイドユリノキではリモネン、シナユリノキではα-ファルネセン)を主成分とする[3][5]花被片はふつう9枚、3枚ずつ3輪につき、最外輪の3枚は緑色、萼片状で反曲し、内側の花被片は黄緑色でオレンジ色を帯び花弁状、立ち上がって碗状になる[2][3](下図3a, b)。雄しべは多数、は外向、花糸は葯の1/3–1/2長[2][3](下図3a)。雌しべは多数が離生、花軸にらせん状につき、最外のものは不稔[3](下図3a)。胚珠は各心皮に2個[3]

3a. ユリノキの花(上面観)
3b. シナユリノキの花(側面観)
3c. ユリノキの集合果

果実は非裂開性の翼果、多数集まって紡錘状の集合果となり、各果実が脱落して散布される[2][3][4](上図3c)。各果実に種子は1–2個、種皮は内果皮に合着している[2][3]。基本染色体数は x = 19 であり、ふつう 2n = 38[2]

分布

北米東部、および中国からベトナム隔離分布する[2][3]

日本でも中新世からホンシュウユリノキ(Liriodendron honshuensis Endo)の化石が見つかっており、古くはユリノキ属植物が分布していた[6]

分類

ユリノキ属には、(現生種としては)下記の2種が認識されている。

ユリノキ属の分類体系[1][7]

脚注

出典

  1. ^ a b Liriodendron”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2022年3月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l Liriodendron”. Flora of North America. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2022年3月5日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m Flora of China Editorial Committee. “Liriodendron”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2022年3月5日閲覧。
  4. ^ a b 勝山輝男 (2000). “ユリノキ属”. 樹に咲く花 離弁花1. 山と渓谷社. pp. 386–387. ISBN 4-635-07003-4 
  5. ^ 東浩司 (2004). “モクレン科の花の匂いと系統進化”. 分類 4 (1): 49-61. doi:10.18942/bunrui.KJ00004649594. 
  6. ^ 庄子加奈子, 髙橋真実, 長島康雄 & 菊池正昭 (2016). “白沢層の植物化石目録 3”. 仙台市科学館研究報告 25: 25-31. doi:10.24650/scsm.25.0_25. 
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “BG Plants 和名−学名インデックス(YList)”. 2022年3月5日閲覧。

関連項目

外部リンク


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