メロドラマ研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/23 05:57 UTC 版)
「ステラ・ダラス (1937年の映画)」の記事における「メロドラマ研究」の解説
かつて『ステラ・ダラス』は典型的な「お涙頂戴映画 weepie」として批評家に低く見られていたが、1930年代の社会階級や性役割に関する人々の意識をくわしく描いているため、近年では映画研究の重要な題材とみなされるようになった。 映画研究者クリスティン・グレッドヒルは、『ステラ・ダラス』を19世紀の小説や戯曲にさかのぼるメロドラマの系譜に位置づけなおして見せた。グレッドヒルによればメロドラマは感情の苦闘を主題とする物語形態で、そこでは経済格差や社会慣行などの動かしがたい障害が登場人物を終始苦しめつづける。メロドラマ作品においては些細な誤解や行き違いがしだいに増幅されて大きな悲劇を生むが、多くの場合、最終的には登場人物の善良さや本質的な心の清らかさが勝利する結末に至る。グレッドヒルは『ステラ・ダラス』をそうした点でメロドラマ映画の代表例のひとつと見なしている。 またアンナ・シオモプーロスは、大恐慌後の1930年代に行われたニューディール・リベラリズムと福祉政策の影響という観点からこの作品を分析し直し、そこに当時の風潮が色濃く反映されていると指摘している。シオモプーロスによれば、当時のリベラルな風潮では持たざる者への適度な再分配は積極的に推奨されるが、根本的な社会変革による格差解消は決して受け入れられない。メロドラマとしての『ステラ・ダラス』は、スタンウィック演じる母親が上流階級の人々を前に身を引くことに観客の感動を誘導している点で、典型的なニューディール・リベラルの作品だとシオモプーロスは解釈している。
※この「メロドラマ研究」の解説は、「ステラ・ダラス (1937年の映画)」の解説の一部です。
「メロドラマ研究」を含む「ステラ・ダラス (1937年の映画)」の記事については、「ステラ・ダラス (1937年の映画)」の概要を参照ください。
- メロドラマ研究のページへのリンク