ムンバイの沈黙の塔
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 03:28 UTC 版)
ムンバイの沈黙の塔は高級住宅街マラバール丘の森の中にある。 インドではゾロアスター教徒のことを「ペルシアから来た人」という意味でパールスィーと呼んでいる。インドのパールスィーの人口はムンバイに集中しており、結果としてムンバイはパールスィーが中心的な割合を占めている。パールスィーには経済的に豊かで社会的地位の高い人が多い傾向がある。 一般的に鳥葬は伝染病の拡大に繋がるなどと非衛生的な方法であるとされるが、パールスィーは環境への被害が最も少ない衛生的で合理的な方法として鳥葬を行っている。 沈黙の塔は、円筒型の石積みで造られた塔であり、衛生的問題と大地を汚さないという宗教的問題から、地面よりも高く造られた石の床の上に死者を横たえている。床は斜面になっており、矩形の窪みに衣服を脱がせた死者を置き、外側から男性、女性、子供という順番に並べられている。窪みには雨水や体液などを流し落とす為の溝が作られており、中央部の井戸に繋がっている。井戸は白骨化した死体を投げ込むためのものであり、底は木炭と砂の濾過層になっている。死体の管理をする為に鉄の扉が1つだけあるが、聖域であるため、パールスィー以外の出入りは禁じられている。 一般人は生い茂った木々の中から高い塀と上空にハゲタカが舞っているのが見えるのみだが、ムンバイにあるヴィクトリア&アルバート博物館(現在はドクター・バウ・ダージ・ラッド博物館と名称変更 )で模型を見ることによって外観、構造を知ることが可能である。なお、現在では猛禽類の減少により、上空を舞うハゲタカを確認することは困難である。
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