ミコフェノール酸とミコフェノール酸モフェチル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:14 UTC 版)
「免疫抑制剤」の記事における「ミコフェノール酸とミコフェノール酸モフェチル」の解説
ミコフェノール酸はグアノシン産生の律速酵素であるイノシン1リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)の阻害薬である。ヒトの他の細胞種と対比して、BおよびTリンパ球はこの経路に強く依存している。経口摂取では生物学的利用率が低いという理由から通常プロドラッグであるミコフェノール酸モフェチルが利用される。ミコフェノール酸モフェチルの作用は以下の4つにまとめることができる。それは、リンパ球の増殖抑制、接着分子の発現抑制、好中球によるNO合成の抑制、慢性同種移植片拒絶における平滑筋細胞の抑制である。リンパ球毒性の選択性の理由は以下の2点にで説明されている。それはリンパ球はプリン代謝をde novo経路に依存しているが、その他の細胞ではサルベージ経路に依存しているという点、IMPDHにはI型とII型のふたつのアイソザイムが知られ、ミコフェノール酸モフェチルはリンパ球で多く発現しているII型を優先的に阻害する。いずれにせよ、ミコフェノール酸はアザチオプリンといった古い代謝拮抗薬に比べ、腎移植による急性拒絶の予防には有効であるというエビデンスがあり、その目的でつかわれることが多い。症例報告レベルでは関節リウマチの治療で用いると、リウマトイド因子、免疫グロブリン、T細胞数が減少する、重症筋無力症、乾癬、自己免疫性溶血性貧血、炎症性腸疾患に効果があったとされている。ほかにはHIV、EBVの治療に使えるという仮説もある。
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