ポストグラフェン物質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 01:00 UTC 版)
ポストグラフェン物質(post-graphene) とは、グラフェンの炭素原子を14族元素で置き換えたハチの巣格子状に結晶を組んだグラフェン状物質のことである。2012年に入り、シリコンのハニカム構造であるシリセン(silicene)が実験的に合成され、注目を浴びている。シリコンは原子が炭素より大きいために、結晶構造がバックルしており、スピン軌道相互作用が比較的大きくなる。このためシリセンにはグラフェンよりも豊かな物性が潜んでいる事が期待できる。実際、シリセンは最近大きな関心を集めているトポロジカル絶縁体を実現している物質の有力候補である。またシリセンは従来のシリコンデバイスとの相性も良く、ありふれた物質であるシリコンでトポロジカル絶縁体が出来る事は興味深い。また、ゲルマニウムのハニカム構造であるゲルマネン(germanene)、スズのハニカム構造であるスタネン(stanene)、鉛のハニカム構造であるプランベン(plumbene)についても注目されている。これらの物質についても全く同様のハミルトニアンで記述される。スタネンとプランベンについては、スピン軌道相互作用が極めて大きくそれぞれ0.1 eVと0.4 eVと大きなエネルギーギャップを形成するとの理論的予測もあり、室温でトポロジカル絶縁体になる事が期待されている。最近、ゲルマネン(2014年)、スタネン(2015年)、プランベン(2019年)についても、実験的に創製することに成功し注目されている。
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