ボク少女と現実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 04:00 UTC 版)
前述のように、フィクションの世界において女性が男性一人称を用いることは珍しいことではないが、その一方、現代の日本においては、女性が「僕」や「俺」のような一人称を用いることは社会的に歓迎されておらず、規範に反すると捉えられている。 しかし近年では、現実にそのような人称を使う女性も増えているとも言われている。心理学者の富田隆はこのような傾向について、単に男友達や、フィクション作品の一人称を真似ているうちに定着してしまった場合などが多いとしつつも、男性への憧れや、既存の女性のように成長したくないという願望の現れである場合もあると説明している。 当事者として「ぼく」を使用するタレントの春名風花は、「女性が使う一人称は『わたし』だけど、ちょっと堅苦しくて、しっくりこない。……男性は時と場合に応じて『オレ』や『ぼく』、『わたし』も使えてうらやましい。どうして女性には普通の一人称がないんだろう。女の子だって、改まるでも、こびるでもない、人と対等に話せる一人称が欲しいのに」と考えていたときにアニメ『少女革命ウテナ』と出会い、それ以来「ぼく」を好んで使うようになったという。ただし春名の場合、男性でも「わたし」を使うような改まった場面では自身も同様に「わたし」を使うとしている。 教育学者の本田由紀が2009年 - 2010年に神奈川県の公立中学校の生徒を対象に行ったアンケート調査によると、一人称に「ボク」「オレ」を使用しているのはそれぞれ女子全体の1.2%・3.8%であり、「ジブン」も含めて男性一人称を使用している者は5.0%を占める。このような言葉遣いは一般人に限った話ではなく、矢口真里が自身を「おいら」と称している例、近年でも上述の春名やでんぱ組.incの最上もがが常時「ぼく」という一人称を使っている事例がある。 なお、江戸時代には「俺」という一人称が老若男女問わず広く使われていたこともある。他、中部地方、特に山梨県などでは現在でも方言で「オレ」という一人称を用いる女性、東北地方、特に福島県では「ワシ」を使う女性は存在している。
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