ホタル保全護岸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 08:46 UTC 版)
ホタル保全護岸は護岸本来の機能に加え、ホタルやそのエサとなるカワニナの生育に適した環境をつくることを目的とした護岸である。 山口県はホタルで有名で、特にホタルの生息が多いのが、山口市の一の坂川、椹野川、吉敷川および下関市豊田町の木屋川で、天然記念物指定河川となっている。 小規模河川改修事業が実施された一の坂川の護岸は、ホタル保全護岸の代表的なものである。一の坂川は市街地を貫流し、両岸には住宅や道路がせまっているため、拡幅せずに河床の掘り下げによる河積の拡大を図る改修が行なわれた。こうしたことから護岸も急勾配の法面となる等の制約のもとにホタル保全護岸が考えられた。 河川底の掘り下げによりそれまで河に棲息していたホタルの幼虫やエサのニナも取り除かれてしまうため、改修にあたっては再びホタルの棲息条件を整え、改修後あらたに幼虫やカワニナを放流しホタルの復活を図る工法として考えられた。 ホタルの棲息条件を満たすために次のような点が配慮されている。 ホタルの幼虫の水虫生活に支障のない流速(約30cm/sec以下)を確保する。 護岸は生物の棲息を有利にするため出来る限り土壌面や樹木を確保する。 また、椹野川でのホタル護岸は連結ブロックを利用してホタルの棲息条件を整えた事例がある。 その連結ブロックの利用に当たって連結ブロックの突起の下側を一部削り取り、日陰となる下側に粘土詰めし表面にヨモギ類を植え付ける、連結ブロック間の間隙にも粘土を詰め幼虫の土中潜入および植栽を可能にする、といった改良が行なわれている。
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