ベームの演奏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/04 20:35 UTC 版)
ベームの身振りはお世辞にも「格好良いバトン・テクニック」とは言えないが、リヒャルト・シュトラウスから指揮について教示・影響を受けている。 カラヤンは「ベーム85歳の誕生祝賀会」に出席した際に、 禅の高僧が矢を射る時、「私が矢を飛ばす」とは言わず「矢が飛ぶ」と言う。すなわち「無為の為」である。これと同じく、ベームの指揮は「音楽が湧く」と言える。つまりベームによって、音楽が自ら奏ではじめるのである。 と、ベームの指揮を評している。 音楽評論家の吉田秀和は、ベームがウィーン交響楽団を指揮したシューベルトの交響曲第8番ハ長調の練習風景と本番をテレビで視聴し、練習について「ただもう教養も何も無い人間が地方弁でガミガミ行っているような調子」「何とぺダンティックでドグマティックなおやじだろう」と書いているが、本番の演奏については「後に残るのはいかにも爽やかで力強い作品を聴いたという充実感でしかない」とし、これを「ベームの不思議」と呼んでいる。このほか、ベルリン・フィルを指揮したベートーヴェンのエロイカの録音についても「実に細かい、しかし同時に充実しきった《音楽》がある。人間の呼吸よりもっと微妙な息遣いがあるかと思うばかりの、豊かにして、力強い変化」「ベートーヴェン特有の精緻であってしかも力強い、微妙であってしかも豪快なダイナミックが、実によく捉えられている」と述べている。
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