ベス単フード外し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 20:20 UTC 版)
「ヴェスト・ポケット・コダック」の記事における「ベス単フード外し」の解説
このカメラに装着されているメニスカス単玉は単純な1群2枚の構成で、シャープに写すためにレンズフード様の絞りにより開放絞りをF11に制限して球面収差が目立たないようにしていたが、日本では大正時代の末期に当時のフィルム感度が低かったことから少しでも高速シャッターを切るためレンズのF値を明るくしようとフード様の絞りを外したところ球面収差で幻想的な軟焦点描写が得られたことから軟焦点レンズとして独自の人気が出た。この場合開放F値はF6.8程度になる。後にウォレンサック製プロ用軟焦点レンズの代名詞的存在「ヴェリート」から「プアマンズ・ヴェリート」と呼ばれるようになった。 しかし1970年代にはボディーが時代遅れとなり127フィルムで最新フィルムが発売されなくなったこと、6×4.5cm判カメラに装着する改造をする人もいたが専門家に改造を依頼せねばならずまた引き受ける人がいなくなったこと、ペンタックス用ヘリコイド接写リングが発売されたことから、ベス単作家の飯島卯太郎が近代的な24×36mm(ライカ)判カメラに装着できないかと提案、これを受けて秋谷方がボディーキャップ中心にφ20mmの穴を開け、ベス単のカメラボディー前板のピスを外して裏の締め付けリングを緩めてレンズとシャッターのセットを外し、前述ボディーキャップの穴に組み込み、No.1接写リング、ヘリコイド接写リングを介してボディーに取り付ける方法を編み出し、1973年『ペンタックスギャラリーニュースNo.18』に発表した。この手法はオリジナルを破壊しないので元にも戻せる。 市場でベス単が求めにくくなって来たことから1986年に清原光学がこのレンズと同一の構成でVK70Rという70mmF5レンズを発売し、誰でもが「ベス単フード外し」の描写を簡単に楽しめるようになった。さらにこのレンズが24×36mm(ライカ)判で風景写真を撮影するには少し望遠過ぎるということで広角化された50mmF4.5のVK50Rが1987年に追加され、またケンコーからも同様のMCソフト45mmF4.5レンズが発売されている。ケンコーの軟焦点レンズは他にMCソフト35mmF4とMCソフト85mmF2.5が存在するが、これらはベス単の描写を再現しているわけではない。 詳細は「清原光学」を参照
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