ブリング–ジェラード標準形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 03:58 UTC 版)
「超冪根」の記事における「ブリング–ジェラード標準形」の解説
五次方程式は主標準形よりもさらに単純化することが可能で、二次の項も消去したブリング–ジェラード標準形 (Bring–Jerrard normal form): v 5 + d 1 v + d 0 = 0 {\displaystyle v^{5}+d_{1}v+d_{0}=0} が導かれる。チルンハウスが試みたように、三次のチルンハウス変換とやはり冪和の公式を用いたのではこれは上手く行かないのだが、1796年にブリング(英語版)は、主標準形の根をブリング–ジェラード標準形の根に結びつける四次のチルンハウス変換 v k := y k 4 + α y k 3 + β y k 2 + γ y k + δ {\displaystyle v_{k}:=y_{k}^{4}+\alpha y_{k}^{3}+\beta y_{k}^{2}+\gamma y_{k}+\delta } を用いることで、問題をうまく回避する方法を発見した。 この四次のチルンハウス変換からくる新たなパラメータによって、ブリングは他のパラメータの次数を下げることに成功し、六つの未知数を含む二次と三次の五つの方程式からなる連立方程式が導かれた。同じ方法を1852年にジェラード(英語版)も発見しているが、ジェラードはこの分野においてブリングによる既存の結果があることはおそらく知らなかったようである。五次方程式の一般形からこの標準形への完全な変換は MathematicaやMapleのような計算機代数システムを用いれば容易に得られるだろうけれども、これら複雑な変換を経る必要からも分かる通り、得られる式は(特に四次以下の場合の冪根を用いた解と比べて)膨大であり、係数を変数記号とする五次の一般方程式に対するそれは、計算機にとっても多くのストレージを消費するものとなる。 解を係数の代数函数と見なすと、 v 5 + d 1 v + d 0 = 0 {\displaystyle v^{5}+d_{1}v+d_{0}=0} の解は二つの変数 d1, d0 の函数ということになるが、実はこのブリング–ジェラード標準形はさらに単純な形 u 5 − u + a = 0 {\displaystyle u^{5}-u+a=0} に還元できる(この形は後で用いる)ので、冪根と非常によく似た性質を持つ一変数の代数函数が実際には導かれる。
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