エルミート–クロネッカー–ブリオッシの特徴付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 03:58 UTC 版)
「超冪根」の記事における「エルミート–クロネッカー–ブリオッシの特徴付け」の解説
1858年に、シャルル・エルミートは楕円超越函数を用いた最初の一般五次方程式の解法を発表した(同時期にフランチェスコ・ブリオッシ(英語版)とレオポルト・クロネッカー もまた同値な解法を得ている)。エルミートは、既によく知られていた三次方程式に対する三角函数を用いた解法を一般化する形でこの解法に到達し、ブリング–ジェラード標準形 x 5 − x + a = 0 {\displaystyle x^{5}-x+a=0} に対する解を求めた(既にみたように一般の五次方程式は、チルンハウス変換でこの標準形に帰着できる)。エルミートは三次方程式における三角函数の役割を、ブリング–ジェラード標準形の方程式において果たすのが楕円函数であることを観察したのである。 このような取り扱いは、冪根を一般化する過程とみることもできる。冪根が x n = exp ( 1 n ln x ) {\textstyle {\sqrt[{n}]{x}}=\exp \left({{\frac {1}{n}}\ln x}\right)} あるいはもっと明確に x n = exp ( 1 n ∫ 1 x d t t ) {\displaystyle {\sqrt[{n}]{x}}=\exp \left({\frac {1}{n}}\int _{1}^{x}{\frac {dt}{t}}\right)} と表せることに注意すると、エルミート–クロネッカー–ブリオッシの方法は、本質的にはこの式に現れる指数函数 exp を楕円モジュラー函数で、同じく積分 ∫ 1 x d t t {\textstyle \int _{1}^{x}{\frac {dt}{t}}} を楕円積分で、それぞれ置き換えるものである。クロネッカーはこの一般化すら任意の高次方程式に適用できる一般定理の特別の場合に過ぎないものと考えていた。そのような一般定理はトマエの公式(英語版)と呼ばれ、完全な記述は1984年に梅村浩によって与えられた。それは、上記の式の exp(あるいは楕円モジュラー函数)のところをジーゲル・モジュラー形式(英語版) で、積分のところを超楕円積分(英語版)で、それぞれ置き換えるものになっている。
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